フリーランス美容師は稼げる?働き方や集客方法など知っておくべき知識

「美容師として独立したいけど、フリーランスって実際どれくらい稼げるの?」「集客はどうすればいいの?」と悩んでいる方は少なくありません。サロンで働きながら将来のキャリアを考えたとき、フリーランス美容師という選択肢が気になっている方も多いのではないでしょうか。

近年、働き方の多様化とともにフリーランス美容師の数は増加しています。自由な働き方や収入アップの可能性に魅力を感じる一方で、「本当に稼げるの?」「集客ができなかったらどうしよう」という不安もあるでしょう。

この記事では、フリーランス美容師の働き方や年収の目安、メリット・デメリット、そして具体的な集客方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。フリーランスへの転向を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

フリーランス美容師とは?3つの働き方を徹底解説

フリーランス美容師とは、特定の美容室に雇用されず、個人事業主として働く美容師のことです。美容室を開業するわけではなく、既存のサロンやシェアサロンを利用して施術を行います。

日経MJ新聞の記事によると、2017年時点でフリーランス美容師は8万人を超えており、その後も増加傾向にあるとされています。スマートフォンやSNSの普及により、個人でも集客ができるようになったことが、フリーランス美容師が増えた大きな要因のひとつです。

フリーランス美容師の働き方には、主に以下の3つの形態があります。

シェアサロン・面貸しで自分のお客様に施術するスタイル

面貸しとは、美容室の一部のセット面(施術スペース)を借りて、自分のお客様に施術を行う働き方です。売上から使用料や手数料をサロンに支払い、残りが自分の収入となります。

シェアサロンは、美容室の設備が整った店舗やスペースを、時間単位や月額で自由に使えるサービスです。内装工事や美容器具などの開業費用を負担する必要がないため、低リスクで独立できるのが特徴です。

面貸しやシェアサロンでは、自分で顧客を集客・管理することになります。そのため売上はすべて「指名売上」となり、自分の力が数字にダイレクトに反映されます。報酬の仕組みとしては、売上から手数料(20〜30%程度)と材料費を差し引いた額が収入となるのが一般的です。

業務委託でサロンのお客様を担当するスタイル

業務委託とは、美容室と雇用契約ではなく「業務委託契約」を結んで働く方法です。サロンのお客様に対して施術を行い、売上から歩合(40〜60%前後)で報酬を得る形が一般的です。

一般の雇われている美容師と働き方の感覚は似ていますが、給料が固定給ではなく歩合制なのが特徴です。入客したお客様の数だけ収入がアップする仕組みで、働いた分だけ稼げる可能性があります。

業務委託の場合、集客は基本的にサロン側が行ってくれるため、面貸しに比べて集客の負担が少ないのがメリットです。ただし、歩合率は面貸しより低い傾向にあります。

独立開業とフリーランスはどう違う?

フリーランス美容師が稼げるようになる働き方や集客方法を解説した記事

美容室オーナーもフリーランスも「個人事業主」という点では同じですが、大きな違いは「自分の店舗を持つかどうか」にあります。

フリーランス美容師は店舗を持たず、既存のサロンやシェアサロンを利用して働きます。一方、美容室を開業する場合は、店舗取得費や内装工事費など多額の初期投資が必要になります。

フリーランス美容師のメリットは、初期費用を抑えて低リスクで独立できる点にあります。まずはフリーランスとして経験を積み、その後に独立開業を目指すという段階的なキャリアプランも人気です。

フリーランス美容師の月収・年収・給料のリアルな実態

フリーランス美容師の収入は、働き方や売上によって大きく異なります。ここでは、具体的な収入シミュレーションをご紹介します。

手取り収入はいくら?業務委託と面貸しの比較シミュレーション

業務委託で働く場合と、面貸し・シェアサロンで働く場合では、収入の計算方法が異なります。

【業務委託の場合】
売上80万円・歩合50%の場合:80万×50%=40万円(月収)、年収480万円

【面貸し・シェアサロンの場合】
売上80万円・歩合70%の場合:80万×70%=56万円(月収)、年収672万円

2024年以降は歩合70〜85%のシェアサロンが増えており、フリーランスの収入は上昇傾向にあります。月売上80万円で年収600万円超えも十分現実的とされています。

また、施術での売上以外に、物販の売上に対する歩合や指名料、目標達成手当などのインセンティブがつく場合もあります。

ただし、フリーランス美容師は福利厚生がなく、各種保険や税金を自分で納める必要があります。手取り額は売上からシェアサロン利用料・材料費・保険料・税金を差し引いた額となりますので、事前にしっかりシミュレーションしておきましょう。

正社員美容師との給料・年収を徹底比較

ハローワークの求人情報データによると、一般的な美容師の月収(求人に掲載されている月額賃金)は25〜26万円前後、年収は全国平均で330〜380万円程度です。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」を基にした情報では、役職別の年収目安は以下のようになっています。

・アシスタント:年収200〜250万円
・スタイリスト:年収300〜400万円
・トップスタイリスト:年収500〜800万円
・店長クラス:年収700万円以上

フリーランス美容師の平均年収は月40万円前後、年収480万円前後が多いとされており、美容師の平均年収300万円前後と比較すると、比較的稼ぎが良いことがわかります。

売上次第で年収1,000万円も可能?高収入を実現する条件

フリーランス美容師が最高でどれくらい稼げるかを考えると、例えば1日6万円の売上が毎日続いた場合、月の売上は180万円となります。報酬が70%の場合、月収は126万円、年収は1,512万円に達する計算です。

ただし、これは理論上の話であり、実際には予約が常に埋まるわけではありません。現実的には、月売上100万円で年収900万円、150万円なら1,300万円超が視野に入るとされています。

成功しているフリーランス美容師の中には、InstagramやTikTokを活用したダイレクト集客で月売上100万円・年収700万円超を達成している方もいます。

フリーランス美容師として働く5つの魅力

フリーランス美容師には、正社員として働く場合にはない多くの魅力があります。

開業資金ゼロでも始められる低リスク独立

フリーランス美容師の最大の魅力は、初期費用を抑えつつ低リスクで独立できる点です。

美容室を開業する場合、店舗取得費、内装工事費、美容機器・備品費用など、数百万円〜数千万円の初期投資が必要になります。一方、フリーランス美容師はすでにある美容室やシェアサロンを使って働くため、初期費用を大幅に抑えることができます。

初期費用が安いということは、万が一うまくいかなかった場合でも、すぐに軌道修正できるということです。

頑張った分だけ収入に直結する歩合制

正社員として働く場合は固定給が中心ですが、フリーランス美容師は働いた分だけ収入が増える仕組みです。

特に面貸しやシェアサロンでは、売上の70〜85%が自分の取り分となるため、頑張り次第で大幅な収入アップが期待できます。「同じカット・同じカラーワークでも、正社員時代の2倍以上の手取り」になることも珍しくありません。

子育て・副業との両立がしやすい自由な働き方

フリーランス美容師の大きな魅力は、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働けることです。雇用契約に縛られないため、労働日数や時間を自由に設定できます。

例えば、子育て中の方は子供の学校行事に合わせて仕事のスケジュールを調整したり、短時間勤務を選択したりすることが可能です。「長時間労働に疲れた」「育児や副業と両立したい」という方にとって、自分のペースで働ける点は大きな魅力でしょう。

一人ひとりのお客様と深く向き合える環境

フリーランス美容師は、お客様一人ひとりにじっくり向き合えるのも特徴です。

サロンに所属していると、店舗の方針や回転率の目標などに縛られることがありますが、フリーランスなら自分のスタイルでお客様と接することができます。丁寧なカウンセリングや施術を大切にしたい方には、フリーランスという働き方が合っているかもしれません。

複数店舗での勤務や掛け持ちも自在

フリーランスなら、空いた時間を技術の向上や新しいスキルの習得に充てたり、副業や複数の仕事を掛け持ちしたりすることも可能です。

曜日によって働く場所を変えることで、広範な地域での顧客獲得が可能になります。また、美容関連のセミナー講師やSNSでの情報発信など、施術以外の収入源を持つことも選択肢に入ります。

知っておくべきフリーランス美容師のリスクと課題

フリーランス美容師には魅力がある一方で、いくつかのリスクや課題もあります。事前に理解しておくことが大切です。

売上次第で毎月の収入が大きく変動する

フリーランス美容師の最も大きな課題は、収入が安定しないことです。

正社員として働く場合は固定給がありますが、フリーランスは働かなければ収入がありません。収入が多い月は50万円を超える方でも、月によっては20万円以下になってしまうケースも十分に考えられます。

また、賞与も支給されません。正社員時代よりも月収が少し上がったとしても、賞与を含めて考えると年収が変わらなかったり、低くなったりすることも考えられます。

「フリーランスになると収入が増える」と安易に考えるのは危険です。現在の自分の顧客数や売上見込みを含めて、実際にどの程度の収入が期待できるのか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。

確定申告・税金・経費管理は自己責任

フリーランス美容師になると、毎年確定申告をする必要があります。

正社員の場合は会社が年末調整をしてくれますが、フリーランスは自分で1年間の所得を計算し、税務署に申告・納税しなければなりません。確定申告の時期は毎年2月中旬から3月中旬までとなっています。

フリーランス美容師が経費として計上できるものには、シェアサロン利用料、材料費(カラー剤・パーマ液など)、道具代、交通費、通信費、セミナー参加費、広告宣伝費などがあります。領収書は5年もしくは7年間の保存が義務付けられていますので、きちんと整理して保管しておきましょう。

健康保険・年金は自分で加入・支払いが必要

フリーランス美容師は、契約先の福利厚生を受けることができません。

正社員なら会社の社会保険に加入できますが、フリーランスになると国民健康保険と国民年金に自分で加入し、保険料や税金を自分で納める必要があります。

また、国民健康保険の場合、産休・育休制度や失業保険制度がありません。ただし、これらをカバーできるフリーランス向けの保険や共済もありますので、必要に応じて検討することをおすすめします。

美容師の場合、「東京美容国保」などの業界団体の国保に加入できる場合もあります。

技術研修や勉強会は自分で探して参加する

フリーランス美容師として稼げるようになるための知っておくべきリスクと課題を解説した記事

フリーランスとして働くと、教育してくれる先輩や上司がいなくなります。

サロンに所属していれば、定期的な研修や先輩からの指導を受けられますが、フリーランスは自分で学ぶ機会を作らなければなりません。新しい技術やトレンドをキャッチアップするために、セミナーへの参加や情報収集を積極的に行う姿勢が求められます。

フリーランス美容師の集客方法7選|インスタ活用からオフラインまで

フリーランス美容師にとって、集客は収入に直結する最も重要な課題です。ここでは、効果的な集客方法を7つご紹介します。

Instagram・TikTokを使ったSNS集客のコツ

SNSはフリーランス美容師にとって最も強力な集客ツールです。InstagramやTikTok、X(旧Twitter)などのプラットフォームを活用して、自分の作品や施術の様子を投稿することで、潜在顧客にアピールできます。

特にInstagramはビジュアルコンテンツが重視されるため、美容師にとって最適なプラットフォームです。施術のビフォーアフター写真や、施術風景の動画を投稿することで、「私もこんな風にしてもらいたい」と興味を持ってもらえます。

SNS集客のポイントは以下の通りです。

・どのようなターゲットに向けて情報を発信するかを明確にする
・定期的に投稿を続ける(週3〜5回程度が目安)
・ハッシュタグを活用して露出を増やす
・DMやコメントには丁寧に返信する
・プロフィールに予約方法や連絡先を明記する

アカウント名を「名前+地名+フリーランス美容師」にすると、何をどんな場所でしている人なのかがすぐに伝わり、集客効果が高まります。

既存のお客様からの紹介・口コミを増やす

既存のお客様からの口コミや紹介は、最もコストがかからず、信頼性の高い集客方法です。

お客様に満足していただくことはもちろん、施術後に「もしよければお友達やご家族をご紹介いただけると嬉しいです」と声をかけることも大切です。紹介してくださったお客様には、次回の施術時に割引を提供するなどの特典を用意すると効果的です。

また、GoogleマップやSNS、口コミサイトに情報を掲載し、お客様からの口コミを集めることも重要です。良い口コミが増えると、新規のお客様からの信頼を得やすくなります。

Googleマップ登録でMEO対策を行う

Googleマップに自分の情報を登録しておくと、「地域名+美容師」などで検索した際に表示されるようになります。

MEO(マップエンジン最適化)とは、地図検索で上位表示を目指すための対策です。実名やフリーランス美容師としての屋号を登録し、以下の情報をしっかり記載しておきましょう。

・プロフィール写真
・施術メニューと料金
・営業時間
・連絡先
・施術事例の写真

口コミへの返信も丁寧に行うことで、検索順位の向上につながります。

自分専用のホームページ・ブログで信頼性アップ

自分専用のホームページやブログを開設することで、信頼性を高め、SEO(検索エンジン最適化)による集客も期待できます。

ホームページには以下の内容を掲載すると良いでしょう。

・プロフィール(経歴、得意な施術など)
・施術メニューと料金
・施術事例(ビフォーアフター写真)
・お客様の声
・予約方法・連絡先

ブログでは、ヘアケアの豆知識やスタイリングのコツなど、お客様にとって有益な情報を発信することで、専門性をアピールできます。

ホットペッパービューティーなどポータルサイトへの登録

ホットペッパービューティーや楽天ビューティー、minimoなどのポータルサイトや美容アプリに登録することで、新規のお客様を獲得できます。

これらのサービスは多くのユーザーに利用されているため、自分で集客するよりも効率的に新規顧客と出会える可能性があります。ただし、掲載料や手数料がかかる場合もあるため、費用対効果を考慮して選びましょう。

LINE公式アカウントで予約・リピート率アップ

LINE公式アカウントは、お客様との距離を縮めるツールとして非常に効果的です。

LINEで予約を受け付けたり、施術後のアフターフォローを行ったりすることで、顧客満足度を高められます。また、クーポンやキャンペーン情報を配信することで、リピーター獲得にもつながります。

「美容師さんに髪型を注文するのが苦手」「プロからのアドバイスが欲しいけど、カット中の会話では聞けない」というお客様にとって、LINEで事前に相談できる環境は安心感につながります。

名刺・チラシを活用したオフライン集客

オンラインだけでなく、名刺やチラシ配布などのアナログな集客方法も有効です。

フリーランス美容師にとって名刺は重要なツールです。名刺には自分の強み、施術メニュー、連絡先に加えて、SNSのQRコードも記載しておくと良いでしょう。初対面の方への自己紹介や、お客様への感謝を伝える際に名刺があると印象に残りやすくなります。

特定の地域で集客したい場合は、近隣エリアへのチラシ配布も効果的です。地域のイベントや商店街の催し物に参加して、地元の方々との接点を作ることも集客につながります。

フリーランス美容師に向いているのはこんな人

フリーランス美容師は、自由な働き方ができる反面、すべてを自分自身で管理する必要があります。ここでは、フリーランス美容師に向いている人の特徴をご紹介します。

スケジュール管理・お金の管理がきちんとできる

フリーランス美容師は、時間やお金だけでなく、健康面や精神面も自己管理しなければなりません。

勤務時間の調整やスケジュール管理のほかにも、経費の計算や確定申告といった事務作業もこなす必要があります。また、体調を崩したりモチベーションが低下したりした際も、自分で解決策を見つけて対処していく必要があります。

そのため、自己管理能力が高い人は、フリーランス美容師に向いているでしょう。

すでにリピートしてくれるお客様がいる

フリーランス美容師として成功するためには、ある程度の固定客を持っていることが重要です。

フリーランスになると、サロン経由ではなく自分で集客する必要があります。既存の顧客がいれば、独立直後から安定した売上が見込めるため、スタートダッシュを切りやすくなります。

目安として、月45万円程度の売上があればフリーランスとしてやっていけると言われています。そこから売上を伸ばすのは比較的楽なので、まずはサロンで顧客を育ててから独立するのが得策です。

自ら情報発信やアクションを起こせる

フリーランス美容師として稼げるようになるには、情報発信が得意であることが必要になることが書かれた記事

フリーランス美容師は、待っているだけではお客様は来てくれません。SNSでの情報発信や集客活動など、自ら積極的に動ける人が向いています。

新しいことにチャレンジする意欲や、失敗を恐れずに試行錯誤を重ねられる姿勢も大切です。「自分のサービスをどうやって広めるか」「どうすればもっとお客様に喜んでもらえるか」を常に考えて行動できる人は、フリーランスとして成功しやすいでしょう。

結婚・出産などでワークスタイルを変えたい

結婚・出産・育児・介護など、ライフスタイルに変化があった方にとって、フリーランスという働き方は魅力的です。

正社員として決まったシフトで働くことが難しくなった場合でも、フリーランスなら自分のペースで働けます。「週2日だけ働きたい」「子供が学校に行っている時間だけ働きたい」といった柔軟な働き方が可能です。

SNSでの発信が好き・得意

InstagramやTikTokなどのSNSを活用した集客が得意な人は、フリーランス美容師として成功しやすい傾向にあります。

SNSは無料で始められ、うまく活用すれば大きな集客効果が期待できます。写真や動画の撮影・編集が好きな方、情報発信が苦にならない方は、フリーランス美容師に向いているでしょう。

フリーランス美容師の探し方|シェアサロン・業務委託サロンの選び方

フリーランス美容師として働く場所を探す方法はいくつかあります。自分に合った働き方ができるサロンを見つけましょう。

求人サイトで業務委託・面貸し案件を検索する

美容師向けの求人サイトには、業務委託や面貸しの募集情報が多数掲載されています。

働き方のほか、給与や休み、エリアなどの条件で絞り込み検索ができるため、自分の希望に合った求人を見つけやすいでしょう。代表的な求人サイトには、リジョブ、ビューティーキャリア、キレイジョブなどがあります。

シェアサロン専門のマッチングサービスを利用する

面貸しやシェアサロンで働きたい場合は、サロンとフリーランス美容師をつなぐマッチングサービスを利用する方法もあります。

エリアごとに利用できるサロンを探せるため、自分の条件に合ったサロンが見つかりやすいのが特徴です。シェアサロンによっては、集客サポートや経営ノウハウの提供など、フリーランス美容師向けのサービスを行っているところもあります。

契約前に確認すべき報酬体系のポイント

フリーランス美容師として働く場所を選ぶ際は、以下のポイントを必ず確認しましょう。

・歩合率は何%か(税込み計算か税抜きか)
・材料費は込みか別途負担か
・指名料の扱い(100%バックか一部か)
・その他の手当やサポートの有無
・シェアサロンの場合は月額利用料と時間単位料金
・予約システムや決済手数料の負担

報酬体系はサロンによって大きく異なります。表面上の歩合率だけでなく、実際に手元に残る金額をしっかり計算してから契約することが大切です。

フリーランス美容師の開業届・確定申告の手続きガイド

フリーランス美容師になるためには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、開業に必要な手続きと準備についてご説明します。

開業届を出さないとどうなる?提出のメリット

フリーランス美容師になったら、開業届を税務署に提出しましょう。開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、開業日から1ヶ月以内に提出することになっています。

「開業届を出さないとどうなるのか」という質問をよくいただきますが、実は開業届を出さなくても罰則はありません。しかし、以下のメリットがあるため、提出しておくことを強くおすすめします。

・確定申告で税制上有利な青色申告が可能になる
・屋号での銀行口座開設ができる
・補助金・助成金の申請ができる
・社会的信用が高まり、物件契約などがスムーズになる

開業届は税務署の窓口で直接提出するほか、郵送や国税庁の電子申告(e-Tax)でも提出できます。国税庁のホームページからダウンロードして、事前に記入しておくとスムーズです。

青色申告で最大65万円の節税効果を得る方法

確定申告を青色申告で行う場合は、「青色申告承認申請書」も税務署に提出する必要があります。開業届と同じタイミングで提出するのがおすすめです。

青色申告のメリットは以下の通りです。

・最大65万円の特別控除が受けられる
・赤字を3年間繰り越せる
・家族への給与支払いを経費にできる

期限を過ぎると、その年は白色申告となり、控除が受けられなくなりますので注意しましょう。青色申告承認申請書の提出期限は、開業日から2ヶ月以内、または青色申告をしたい年の3月15日までです。

帳簿付けは会計ソフト(マネーフォワード、freeeなど)を活用し、e-Taxで電子申告すると65万円控除を満額受けられます。

国民健康保険・国民年金への切り替え手続き

会社を退職してフリーランスになると、社会保険から国民健康保険・国民年金に切り替える必要があります。

退職後14日以内に、お住まいの市区町村役所で手続きを行いましょう。手続きには、身分証明書、マイナンバーカード(または通知カード)、印鑑が必要です。

美容師の場合、「東京美容国保」などの業界団体の国保に加入できる場合もありますので、条件を確認してみると良いでしょう。

経費にできるもの一覧と帳簿管理のコツ

フリーランス美容師として働き始めたら、日々の売上や経費の記録を付けておくことが大切です。確定申告の時期に慌てないよう、こまめに帳簿を付ける習慣をつけましょう。

経費として計上できるものには、以下のようなものがあります。

・シェアサロンの利用料
・材料費(カラー剤、パーマ液など)
・道具代(ハサミ、ドライヤーなど)
・交通費
・通信費(携帯電話代の一部)
・セミナー参加費
・広告宣伝費
・名刺・チラシの印刷費
・お客様へのプレゼント費用
・仕事用の衣装費

領収書は5年もしくは7年間の保存が義務付けられていますので、きちんと整理して保管しておきましょう。

フリーランス美容師として長く活躍するためのポイント

最後に、フリーランス美容師として長く活躍するためのポイントをまとめます。

自分ならではの強みを打ち出す

フリーランス美容師として成功するためには、自分自身の強みや特徴を明確にし、それを顧客にアピールすることが大切です。

「カラーリングが得意」「ショートヘアに自信がある」「頭皮ケアに詳しい」など、自分ならではの強みを打ち出すことで、他の美容師との差別化を図ることができます。

リピーターを増やして収入を安定させる

リピーターが増えると収入が安定しやすくなります。自分のことを気に入って通ってくれるお客様を増やすための施策を行うことが重要です。

・丁寧なカウンセリングで信頼関係を築く
・施術後のアフターフォローを行う
・次回予約を促す
・お客様一人ひとりの好みや要望を記録しておく

「今後もこの美容師にお願いしたい」「ずっと通い続けたい」と感じてもらえるような接客を心がけましょう。

常に学び続け、情報発信を続ける

美容業界はトレンドの移り変わりが激しいため、常に新しい技術や情報をキャッチアップする姿勢が求められます。

セミナーへの参加や、SNSでの情報収集などを通じて、自分のスキルをアップデートし続けることが大切です。また、学んだことをSNSやブログで発信することで、専門性をアピールしながら集客にもつなげられます。

まとめ|フリーランス美容師という選択肢を検討してみよう

この記事では、フリーランス美容師の働き方や年収の目安、メリット・デメリット、集客方法、必要な手続きについて解説しました。

フリーランス美容師は、自由な働き方と収入アップの可能性を秘めた魅力的な選択肢です。一方で、収入の不安定さや集客の難しさ、確定申告などの事務作業など、正社員時代にはなかった課題も生じます。

フリーランスへの転向を検討している方は、以下のポイントを確認してみてください。

・現在の固定客はどれくらいいるか
・月にどれくらいの売上が見込めるか
・SNSでの集客活動ができそうか
・自己管理や事務作業をこなせそうか

まずは現在のサロンで働きながら顧客を増やし、SNSでの情報発信を始めるなど、できる準備から始めてみてはいかがでしょうか。

フリーランス美容師という働き方が、あなたのキャリアの新しい可能性を開くきっかけになれば幸いです。

【参考情報】

・厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
・国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
・国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」

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