美容室の集客にコンサルは効果ある?コンサルタントの選び方

「美容室の集客がうまくいかない…」「コンサルタントに頼めば本当に売上が上がるの?」と悩んでいませんか?美容室の数は年々増加しており、2024年3月時点で全国に約27万4,000店舗と過去最多を更新しています。コンビニの約5倍もの店舗数があり、競争は激化する一方です。
そんな厳しい状況の中で、経営を安定させるために「集客コンサルタントへの依頼」を検討される方も多いでしょう。しかし、費用は決して安くありませんし、「本当に効果があるのか」「どんなコンサルを選べばいいのか」と不安を感じるのは当然のことです。
この記事では、美容室の集客コンサルティングについて、効果の実態からコンサルタントの選び方、費用相場まで詳しくお伝えします。コンサルに頼る前に自分でできる集客方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
美容室が集客できない理由と現状の課題
まずは、なぜ多くの美容室が集客に苦戦しているのか、その背景を理解しておきましょう。問題の原因を知ることで、コンサルに依頼すべきかどうかの判断材料になります。
店舗数の増加による競争激化
厚生労働省の「令和5年度衛生行政報告例」によると、2024年3月末時点で全国の美容所数は27万4,070件にのぼります。前年から約4,200件増加しており、美容室の数は過去最多を更新し続けています。
一方で、日本の人口は減少傾向にあります。つまり、お客様の数は減っているのに、美容室の数だけが増えているという状況です。単純計算すると、約480人に1店舗の割合で美容室が存在していることになり、激しい生存競争が繰り広げられています。
この状況では、技術力だけでは差別化が難しく、「集客の仕組みづくり」が経営を左右する重要なポイントになっています。
新規集客とリピート率の課題
美容室の集客では、「新規のお客様を増やすこと」と「リピートしていただくこと」の両方が大切です。しかし、多くのサロンがこの両面で課題を抱えています。
美容室のリピート率について、全国平均では90日間で新規顧客が約30%、既存顧客が約70%程度といわれています。つまり、新規で来店されたお客様の約7割は、3ヶ月以内に再来店されないということです。
なぜリピート率が低いのでしょうか?主な理由として「仕上がりが好みではなかった」「接客の印象がよくなかった」「他店との違いがわからなかった」などが挙げられます。技術面だけでなく、接客やサロンの雰囲気、アフターフォローなど、総合的な顧客体験が問われているのです。
Web集客への対応の遅れ
現代の消費者は、美容室を探す際にインターネットを活用します。ホームページやSNS、口コミサイトなどで情報を収集し、比較検討してから予約をするのが一般的です。
しかし、多くの美容室オーナーは施術のプロであっても、Webマーケティングについては詳しくありません。「ホームページを作ったけれど予約が入らない」「SNSを始めたものの何を発信すればいいかわからない」といった悩みを抱えている方も少なくないでしょう。
このような状況で、専門家であるコンサルタントの力を借りることは、有効な選択肢の一つといえます。ただし、コンサルタントに依頼する前に、メリット・デメリットをしっかり把握しておくことが重要です。
美容室の集客コンサルに依頼するメリット
では、実際に集客コンサルタントに依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、コンサル活用の具体的なメリットをお伝えします。
経営改善のスピードが上がる
コンサルタントは多くのサロンを支援してきた経験があります。そのため、あなたのサロンが抱える課題を素早く見つけ、効果的な解決策を提案してくれます。
独学で経営を改善しようとすると、何が正解かわからないまま試行錯誤を繰り返し、時間とお金を無駄にしてしまうことも。コンサルタントを活用すれば、他のサロンが失敗しやすいポイントを避けながら、最短距離で成果を出せる可能性が高まります。
特に開業して間もない方や、これまで経営について学ぶ機会がなかった方にとっては、プロの知見を借りることで大きな時間短縮につながるでしょう。
客観的な視点で課題を発見できる
日々の業務に追われていると、自分のサロンの問題点が見えにくくなることがあります。「なぜお客様が来ないのか」「なぜリピートしていただけないのか」など、当事者には気づきにくい課題も存在します。
コンサルタントは第三者の視点でサロンを分析し、オーナー自身では気づかなかった改善点を指摘してくれます。来店導線の設計、メニュー構成、価格設定、接客フロー、店舗の雰囲気など、多角的な視点からアドバイスを受けられるのは大きなメリットです。
最新のマーケティング手法を学べる

集客の手法は常に進化しています。数年前に効果があった方法が、今では通用しなくなっているケースも珍しくありません。
美容業界に精通したコンサルタントであれば、最新のトレンドや効果的な集客手法を熟知しています。SNSの活用法、MEO対策、ホームページの改善ポイント、リピート施策など、時代に合った方法を学ぶことができます。
また、コンサルタントとのやり取りを通じて、オーナー自身のマーケティングスキルも向上していきます。将来的には自分で集客戦略を立てられるようになることも、大きなメリットの一つです。
孤独な経営から脱却できる
サロン経営は孤独になりがちです。スタッフに経営の相談をするのは難しいですし、同業者には本音を話しづらいこともあるでしょう。
コンサルタントは、いわば経営のパートナーのような存在です。売上の悩みやスタッフの問題など、誰にも言えなかったことを相談できる相手がいるだけで、精神的な負担が軽くなる方も多いようです。
顧問契約を結ぶ場合は、定期的にミーティングを行いますので、一人で抱え込まずに経営を進められる安心感があります。
美容室の集客コンサルに依頼するデメリット・注意点
メリットがある一方で、コンサルタントへの依頼にはデメリットや注意点もあります。費用対効果を慎重に検討するためにも、しっかり把握しておきましょう。
コンサル費用は決して安くない
最も大きなデメリットは、やはり費用の問題です。コンサルティング費用は決して安くありません。
一般的な費用相場として、初期費用が10万円〜30万円程度、月額費用が10万円〜50万円程度かかります。すでに経営が苦しい状況であれば、この出費は大きな負担になる可能性があります。
費用をかけたからといって、必ずしも成果が出るとは限りません。コンサルタントはあくまでアドバイスをする立場であり、実際に行動するのはオーナー自身です。提案を実行しなければ、お金だけが消えていくことにもなりかねません。
自分のサロンに合わない提案をされることがある
すべてのコンサルタントが、あなたのサロンにぴったりの提案をしてくれるとは限りません。コンサルタントにも得意・不得意がありますし、経験値やスキルにも差があります。
例えば、大規模サロンの経営経験はあっても、個人サロンの事情には詳しくないコンサルタントもいます。また、都市部のサロン向けの施策を、地方のサロンにそのまま当てはめようとするケースもあります。
サロンの規模や立地、ターゲット層に合わない提案を実行しても、効果が出ないばかりか、逆効果になることもあります。コンサルタント選びを慎重に行う必要があるのは、このためです。
経営ノウハウが蓄積されない可能性がある
コンサルタントに依存しすぎると、自分自身の経営スキルが身につかないという問題もあります。
「すべてコンサルタントに任せておけば大丈夫」という姿勢では、コンサル契約が終了した後に何も残りません。いつまでもコンサルタントなしでは経営できない状態になってしまいます。
コンサルタントを活用する際は、「教えてもらう」だけでなく「自分で学び取る」という意識が大切です。なぜその施策が効果的なのか、どういう考え方で戦略を立てているのかを理解し、自分のものにしていく姿勢が求められます。
美容室の集客コンサル費用の相場
コンサルタントへの依頼を検討する際に、気になるのが費用です。ここでは、契約形態ごとの費用相場をご紹介します。
顧問契約型の費用相場
顧問契約型は、専任のコンサルタントと中長期的な契約を結ぶ形態です。毎月固定の報酬を支払い、継続的にサポートを受けます。
費用相場は月額10万円〜50万円程度です。中小規模のサロンであれば月額10万円〜20万円程度、複数店舗を運営するサロンでは30万円〜50万円程度が一般的です。
顧問契約のメリットは、何でも気軽に相談できる関係性を築けることです。日々の小さな悩みから、中長期的な経営戦略まで、幅広いサポートを受けられます。ただし、月々の固定費となるため、資金に余裕がある状態で契約することをおすすめします。
時間契約型の費用相場
時間契約型は、コンサルタントが稼働した時間に応じて報酬を支払う形態です。スポットコンサルとも呼ばれます。
費用相場は1時間あたり5,000円〜10万円程度と幅があります。コンサルタントの経験や実績によって単価は大きく異なります。大手コンサルティング会社に所属するコンサルタントは高額になる傾向があり、個人で活動しているコンサルタントは比較的リーズナブルな場合が多いです。
時間契約は、「特定の課題だけ相談したい」「まずはお試しで依頼してみたい」という場合に適しています。必要なときだけ利用できるので、費用を抑えながらプロの知見を得ることができます。
成果報酬型の費用相場
成果報酬型は、実際に成果が出た場合にのみ報酬を支払う形態です。売上や利益が一定の目標を達成したときに、その一部を報酬として支払います。
成果報酬の割合はコンサルタントによって異なりますが、売上増加分の10%〜30%程度が一般的です。初期費用がかからない場合もあり、リスクを抑えてコンサルを導入できるメリットがあります。
ただし、成果報酬型を提供しているコンサルタントは多くありません。また、「何をもって成果とするか」の定義を明確にしておかないと、後々トラブルになることもあります。契約前に条件をしっかり確認しましょう。
信頼できる美容室の集客コンサルタントの選び方5つのポイント
コンサルタント選びを失敗すると、費用だけがかかって成果が出ないという事態になりかねません。ここでは、信頼できるコンサルタントを選ぶための5つのポイントをお伝えします。
美容業界での実績と経験があるか

まず確認すべきは、美容業界に特化した実績があるかどうかです。一般的なビジネスコンサルタントでは、美容室特有の課題を理解していない場合があります。
美容室の経営には、予約管理やスタッフ教育、技術トレーニング、薬剤選定など、他の業種にはない独自の課題があります。これらを理解した上でアドバイスできるコンサルタントを選ぶことが大切です。
過去にどのくらいの美容室を支援してきたか、どのような成果を上げてきたかを確認しましょう。具体的な数字や事例を提示できるコンサルタントは信頼性が高いといえます。
自分のサロンの規模や状況に合っているか
コンサルタントにもそれぞれ得意分野があります。大規模チェーンの経営が得意な方、個人サロンや少人数サロンに強い方、開業支援が専門の方など、さまざまです。
自分のサロンの規模や経営ステージに合ったコンサルタントを選ぶことが重要です。例えば、開業したばかりのサロンであれば、新規オープン時の集客に詳しいコンサルタントが適しています。既存のサロンでリピート率を上げたいなら、顧客維持の施策に強いコンサルタントを選びましょう。
事前の相談や面談で、自分の状況を詳しく伝え、具体的にどのようなサポートを受けられるかを確認することをおすすめします。
提案内容が具体的かどうか
「売上を上げます」「集客を増やします」といった抽象的な言葉だけで、具体的な方法を説明できないコンサルタントには注意が必要です。
信頼できるコンサルタントは、現状を分析した上で、「何を」「どのように」「いつまでに」実行するかを具体的に提案してくれます。目標設定も「売上20%アップ」など、数値で示してくれることが多いです。
初回の相談時に、実際にどのような施策を行うのか、どのくらいの期間で成果が見込めるのかを質問してみましょう。明確に答えられるかどうかで、コンサルタントの質を判断できます。
コミュニケーションが取りやすいか
コンサルタントとは長期間のお付き合いになることが多いため、相性は非常に重要です。どんなに実績があっても、話しにくいと感じる相手ではうまくいきません。
初回の相談時に、「この人とは話しやすいか」「質問しやすい雰囲気か」「こちらの話をしっかり聞いてくれるか」を確認しましょう。一方的に話すだけで、オーナーの意見を聞こうとしないコンサルタントは避けた方が無難です。
また、連絡手段や頻度も確認しておきましょう。LINEやメールで気軽に質問できるのか、電話対応は可能か、定期ミーティングはどのくらいの頻度かなど、サポート体制を事前に把握しておくと安心です。
契約内容と費用が明確かどうか
契約前に、費用やサポート内容を明確にしておくことは非常に重要です。「何にいくらかかるのか」「どこまでサポートしてもらえるのか」が曖昧なまま契約すると、後でトラブルになる可能性があります。
契約期間や解約条件についても確認しましょう。「最低契約期間は何ヶ月か」「途中解約は可能か」「解約時の違約金はあるか」など、事前に把握しておくべき事項は多いです。
信頼できるコンサルタントは、費用や条件について隠すことなく、わかりやすく説明してくれます。逆に、質問しても曖昧な回答しか得られない場合は、慎重に検討した方がよいでしょう。
コンサルに頼る前に試したい美容室の集客方法・アイデア
コンサルタントに依頼する前に、まずは自分でできる集客方法を試してみることをおすすめします。ここでは、実践しやすい集客のアイデアをご紹介します。
ホームページのSEO対策で集客する
ホームページを持っているなら、SEO対策を見直してみましょう。SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示されるための対策です。
「地域名+美容室」「地域名+カット」などのキーワードで検索したとき、自分のサロンが上位に表示されれば、新規のお客様からの問い合わせや予約が増えます。
SEO対策の基本として、ホームページ内に地域名や施術メニューなどのキーワードを自然に盛り込むこと、定期的にブログを更新すること、お客様の声やビフォーアフター写真を掲載することなどが挙げられます。専門的な知識がなくても、少しずつ改善を続けることで効果が出てきます。
インスタ(Instagram)やSNSを活用した集客アイデア
インスタ(Instagram)やTikTokなどのSNSは、美容室と非常に相性の良い集客ツールです。施術のビフォーアフター写真や、スタイリングのコツを紹介する動画など、視覚的なコンテンツで魅力を伝えられます。
SNS集客のポイントは、一貫性のある投稿を続けることです。週に2〜3回程度、定期的に投稿することで、フォロワーとの関係性を築いていけます。
ハッシュタグの活用も重要です。「#地域名美容室」「#ヘアスタイル」「#髪質改善」など、ターゲットとなるお客様が検索しそうなハッシュタグをつけることで、より多くの方に投稿を見てもらえます。
Googleビジネスプロフィール(MEO対策)を整える
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、無料で利用できる集客ツールです。Googleマップで「美容室」と検索したとき、自分のサロンが表示されるように設定できます。
MEO対策とは、Googleマップでの検索順位を上げる対策のことです。営業時間や電話番号、住所などの基本情報を正確に入力し、サロンの写真を多数掲載することが大切です。
また、お客様からの口コミも検索順位に影響します。来店いただいたお客様に口コミを書いていただけるようお願いし、良い口コミを増やしていきましょう。口コミには必ず返信し、お客様との関係性を大切にしている姿勢を見せることも重要です。
ホットペッパービューティーなどのポータルサイトを活用する
ホットペッパービューティーをはじめとするポータルサイトは、新規集客に効果的です。すでに美容室を探しているお客様が集まっているため、効率よく新規予約を獲得できます。
ただし、掲載料がかかることと、クーポン目当てのお客様が多くリピート率が低くなりがちという課題もあります。ポータルサイトに頼りすぎず、自社のホームページやSNSと組み合わせて活用することをおすすめします。
ポータルサイトで集客したお客様を、いかにリピーターにつなげるかが重要です。初回クーポンだけでなく、次回予約特典を用意するなど、再来店を促す仕組みを作りましょう。
看板やチラシでの地域密着型集客
Web集客ばかりに目が行きがちですが、看板やチラシなどのオフライン集客も依然として効果があります。特に地域密着型のサロンでは、近隣の方に直接アピールできる手段として有効です。
看板は、通行人の目に留まりやすいデザインにすることがポイントです。サロンの雰囲気が伝わる写真や、わかりやすいメニュー表示を心がけましょう。
チラシやポスティングは、ターゲットとなるエリアを絞って配布することで効率を上げられます。新規オープン時はもちろん、季節のキャンペーンやリニューアル時にも効果的です。
紹介制度でリピーターと新規客を同時に獲得
既存のお客様からのご紹介は、最も信頼性が高く、リピート率も高い集客方法です。紹介で来店されたお客様は、紹介者との関係性があるため、サロンへの信頼度が最初から高い傾向があります。
紹介制度を設け、紹介してくださった方と、紹介で来店された方の両方に特典を用意しましょう。割引やポイント付与、次回使えるトリートメントサービスなど、お互いにメリットがある内容にすると紹介が増えやすくなります。
お客様に紹介をお願いするタイミングも重要です。施術が終わり、仕上がりに満足されているときに「よろしければお友達をご紹介ください」とお伝えすると、快く引き受けてくださることが多いです。
LINE公式アカウントなど集客ツールでリピート率を上げる
LINE公式アカウントは、既存のお客様との関係を維持し、リピート率を上げるのに効果的なツールです。一度登録していただければ、新メニューのお知らせやキャンペーン情報を直接届けられます。
予約受付をLINEで行えるようにすれば、お客様の予約のハードルが下がります。電話をかける手間がなくなるため、思い立ったときにすぐ予約していただけます。
来店後のフォローメッセージを送ることも大切です。「本日はありがとうございました。スタイリングでわからないことがあればお気軽にご連絡ください」など、アフターフォローをしっかり行うことで、お客様との信頼関係が深まります。
美容室の集客で特に意識したい3つのポイント
さまざまな集客方法をご紹介しましたが、どの方法を使う場合でも共通して意識していただきたいポイントがあります。ここでは、集客成功のための3つのポイントをお伝えします。
ターゲットとペルソナを明確にする
「誰に来てほしいのか」を明確にすることが、集客の第一歩です。すべてのお客様に対応しようとすると、かえって誰にも選ばれないサロンになってしまいます。
年齢層、性別、ライフスタイル、悩み、求めるスタイルなど、理想のお客様像(ペルソナ)を具体的に描いてみましょう。例えば「30代の働く女性で、時短スタイリングができるヘアスタイルを求めている方」といったイメージです。
ペルソナが明確になれば、ホームページのデザイン、SNSの投稿内容、店内の雰囲気、メニュー構成など、すべてをそのターゲットに向けて最適化できます。狙ったお客様層に「ここは自分のためのサロンだ」と思ってもらえれば、リピートにもつながりやすくなります。
他店との差別化ポイントを作る
競合が多い美容業界で選ばれるためには、「このサロンでなければならない理由」が必要です。他店にはない独自の強みを作り、しっかりアピールしていきましょう。
差別化のポイントは、技術面だけとは限りません。「完全個室でリラックスできる」「キッズスペース完備で子連れでも安心」「オーガニック製品にこだわっている」「メンズ専門でスタイリングまでレクチャー」など、サービス面やコンセプト面での差別化も有効です。
自分のサロンの強みがわからない場合は、常連のお客様に「なぜこのサロンに通ってくださっているのですか?」と聞いてみるのも良い方法です。お客様の言葉の中に、自分では気づかなかった強みが隠れていることがあります。
施術だけでなく接客と体験全体を磨く
お客様がリピートしない理由の約半数は、「仕上がりが好みではなかった」「技術が不満だった」という施術面の問題ですが、残りの半数は接客や雰囲気、コミュニケーションの問題です。
入店から退店までのすべてのタッチポイントで、お客様に良い体験を提供することを意識しましょう。笑顔での出迎え、丁寧なカウンセリング、施術中の適度な会話、仕上がり確認の丁寧さ、お見送りの一言など、細かい部分の積み重ねが大切です。
特に、カウンセリングはリピート率を左右する重要なポイントです。お客様の悩みや理想をしっかり聞き取り、プロとしての提案を加えることで、「この美容師さんはわかってくれる」という信頼感が生まれます。
美容室の平日集客を増やすための工夫

土日は予約で埋まるけれど、平日は空きが多いというサロンも多いのではないでしょうか。平日の集客を増やすことは、売上アップに直結します。ここでは、平日集客のアイデアをご紹介します。
平日限定のお得なプランを作る
平日に来店するメリットを明確にすることで、お客様に平日予約を選んでいただきやすくなります。平日限定の割引プランや、平日だけの特別メニューを用意してみましょう。
例えば「平日10時〜14時限定でトリートメント無料」「水曜日はカラー20%オフ」など、お得感のあるプランが効果的です。時間に余裕のある主婦層やフリーランスの方、シフト勤務の方などが反応しやすくなります。
ただし、割引ばかりに頼るのは長期的には得策ではありません。平日限定メニューとして、時間をかけてゆっくり施術を受けられるスペシャルコースを設定するなど、価値を高める方向での工夫も考えましょう。
ターゲットに合わせた営業時間を検討する
平日に来店できるお客様層を分析し、その方々が来やすい時間帯に営業することも重要です。
例えば、子育て中の主婦をターゲットにするなら、幼稚園や保育園に子どもを預けている時間帯に合わせて営業するのが効果的です。逆に、仕事帰りのOLをターゲットにするなら、夜遅くまで営業することで平日の集客が増える可能性があります。
サロンの立地や周辺環境、ターゲット層の生活パターンを考慮して、最適な営業時間を検討してみてください。
地方の美容室が集客で成功するためのポイント
地方の美容室は、都市部とは異なる集客の課題を抱えています。人口が少ない、競合が限られている、といった地方ならではの特徴を活かした集客方法を考えましょう。
地域密着型の強みを最大限に活かす
地方の美容室の最大の強みは、地域との密接なつながりです。都市部のサロンでは難しい「顔の見える関係」を築きやすく、一度信頼を得ればその地域で長く愛されるサロンになれます。
地元のイベントへの参加、商店街との連携、学校行事への協力など、地域コミュニティに積極的に関わることで認知度を高められます。口コミの広がりも都市部より早い傾向があるため、良い評判が立てば自然と集客につながります。
予約アプリを活用して利便性を高める
地方であっても、お客様のスマートフォン利用率は高くなっています。24時間いつでも予約できるアプリやシステムを導入することで、電話が苦手な若い世代の集客にも効果があります。
無料で使える予約アプリも多数ありますので、まずは導入してみることをおすすめします。お客様にとっての利便性が上がれば、リピート率の向上にもつながります。
美容室の新規オープン・開業時の集客ポイント
これから美容室を開業される方や、新規オープンを控えている方に向けて、オープン時の集客ポイントをお伝えします。
開業前からの情報発信を始める
オープン日に合わせて集客を始めるのでは遅すぎます。開業の2〜3ヶ月前から、SNSやブログなどで情報発信を始めましょう。
内装工事の様子や準備の進捗、オーナーの想いやコンセプトなど、開業までのストーリーを発信することで、オープン前から見込み客を集められます。「このサロンがオープンしたら行ってみたい」と思ってもらえれば、オープン初日から予約を獲得できます。
プレオープンとして、知人やモニターを招いて施術を行い、その様子をSNSで発信するのも効果的です。実際の施術写真があると、信頼性が高まります。
オープン記念キャンペーンを実施する
新規オープン時は、お得なキャンペーンを実施して一気に認知度を高めましょう。オープン記念価格での施術や、ノベルティプレゼント、次回予約特典などを用意すると、来店のきっかけを作りやすくなります。
ただし、オープン時のキャンペーン価格と通常価格の差が大きすぎると、キャンペーン終了後にリピートにつながりにくくなります。継続して通っていただける価格設定とのバランスを考えながら、キャンペーン内容を決めましょう。
地域とのつながりを作る
新規オープンのサロンは、まず地域の方に知っていただくことが重要です。近隣へのチラシ配布、ご挨拶まわり、地域のイベントへの参加など、オフラインでの活動も積極的に行いましょう。
商店街や地域の事業者とのつながりを作っておくと、口コミでの紹介にもつながります。地域に根ざしたサロンとして信頼を得ることで、長期的な集客につながります。
美容室の集客代行サービスとは?活用のメリットと注意点
コンサルタントとは別に、集客代行サービスを利用するという選択肢もあります。ここでは、集客代行サービスについて解説します。
集客代行サービスの内容
集客代行サービスとは、SNS運用やWeb広告の運用、ホームページ制作、MEO対策などを代わりに行ってくれるサービスです。コンサルタントがアドバイスをするのに対し、集客代行は実際の作業を代わりに実行してくれる点が異なります。
「SNSを毎日更新する時間がない」「広告の設定方法がわからない」「ホームページを更新する技術がない」という方にとっては、手間を省きながら集客強化ができるメリットがあります。
代行サービスの内容や範囲は会社によってさまざまです。SNS運用だけを代行するところもあれば、総合的なWebマーケティングを一括で引き受けてくれるところもあります。自分に必要なサービスを選んで依頼しましょう。
集客代行を利用する際の注意点
集客代行サービスを利用する際は、いくつかの注意点があります。
まず、丸投げにしないことです。代行業者はあなたのサロンのことをすべて理解しているわけではありません。サロンのコンセプトやターゲット、強みなどをしっかり伝え、定期的にコミュニケーションを取ることが大切です。
また、成果を確認できる仕組みを作っておきましょう。定期的なレポート提出を依頼し、どのような施策を行い、どのような成果が出ているかを把握できるようにしてください。
費用対効果も重要なポイントです。毎月の代行費用に見合った集客効果が出ているかを定期的に確認し、効果が出ていなければサービスの見直しや解約も検討しましょう。
個人・一人美容室の集客で押さえておきたいこと
大規模サロンとは異なり、個人で経営する美容室には独自の集客課題と強みがあります。ここでは、個人サロンならではの集客ポイントをお伝えします。
個人サロンの強みを活かした集客
一人で経営する美容室は、担当者が変わらないという大きな強みがあります。お客様は毎回同じ美容師に担当してもらえるため、安心感があり、細かな好みや髪の悩みを理解してもらいやすいです。
この「マンツーマンでの施術」「プライベート空間」という特徴は、ゆっくりリラックスしたいお客様や、人目を気にせず施術を受けたいお客様にとって大きな魅力になります。
個人サロンの集客では、この強みを前面に出すことが重要です。「完全予約制」「プライベートサロン」「お一人様ずつの対応」といったワードをホームページやSNSで積極的に発信しましょう。
集客サイト・ポータルサイトの活用は慎重に
個人サロンの場合、大手の集客サイトへの掲載は慎重に検討する必要があります。掲載料が高額になりがちで、一人で対応できる予約数にも限りがあるためです。
集客サイトからのお客様は価格重視の傾向があり、リピート率が低くなりがちという声もあります。個人サロンでは、少数のお客様と長くお付き合いするスタイルが経営の安定につながるため、紹介やSNS、Googleビジネスプロフィールなど、コストを抑えた集客方法を優先することをおすすめします。
もちろん、集客サイトが効果的な場合もありますので、費用対効果を見ながら判断してください。
看板やサインで地域の認知度を上げる
個人サロンは自宅やマンションの一室で営業していることも多く、通りすがりの人に気づいてもらいにくいという課題があります。集客できる看板を工夫して、サロンの存在をアピールしましょう。
看板には、サロン名だけでなく「ヘアサロン」「美容室」などの業種がわかる言葉を入れることが大切です。また、施術写真やメニュー、営業時間など、お客様が知りたい情報を掲載すると、問い合わせにつながりやすくなります。
マンションの規約で大きな看板が出せない場合は、置き型のA看板やウィンドウステッカー、玄関先の小さなプレートなど、できる範囲で工夫してみてください。
まとめ:美容室の集客は自分でできることから始めよう
この記事では、美容室の集客コンサルティングについて、効果やメリット・デメリット、費用相場、選び方のポイントなどを詳しくお伝えしました。
コンサルタントに依頼することで、経営改善のスピードが上がる、客観的な視点で課題を発見できる、最新のマーケティング手法を学べるといったメリットがあります。一方で、費用がかかる、自分のサロンに合わない提案をされる可能性がある、といったデメリットも存在します。
費用相場は、顧問契約で月額10万円〜50万円程度、時間契約で1時間あたり5,000円〜10万円程度が目安です。コンサルタントを選ぶ際は、美容業界での実績、自分のサロンに合っているか、提案内容の具体性、コミュニケーションの取りやすさ、契約内容の明確さなどをチェックしましょう。
ただし、コンサルタントに頼る前に、まずは自分でできる集客方法を試してみることをおすすめします。ホームページのSEO対策、SNSの活用、Googleビジネスプロフィールの整備、紹介制度の導入、LINE公式アカウントの活用など、費用をかけずにできることはたくさんあります。
自分で試行錯誤した経験があると、コンサルタントに依頼したときにより効果的に活用できます。まずはできることから始めて、それでも成果が出ない場合や、より専門的なサポートが必要だと感じた場合に、コンサルタントへの依頼を検討してみてください。
あなたのサロンが、多くのお客様に愛される場所になることを願っています。
参考情報
- 厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」(2024年10月発表)- 美容所数27万4,070件(2024年3月末時点)
- タカラベルモント株式会社 – 3回リピート率30%、その後の継続率90%のPOSデータ分析結果
- ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期」- 美容室市場規模約1兆3,543億円

