エステサロンで回数券を導入するメリット・デメリットは?導入前に確認すべきポイントを解説

エステサロン経営において、回数券はもはや定番。売上安定とリピート促進の心強い味方になってくれます。
しかし、導入のタイミングや運用方法によっては、思うような結果につながらないこともあるんです。
この記事では、サロン経営のコンサルティングに携わってきた経験から、あなたが導入前に確認すべき回数券のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
さらに、「いつ導入すべきか」「どう運用すれば失敗しないか」という実践的なノウハウ、大手チェーンの事例から学べる教訓、お客様に喜んでいただける回数券設計の考え方もご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたのサロン経営のヒントにしていただければ嬉しいです。
エステサロンの回数券とは?基本を理解しよう

エステにおける回数券とは?定義と種類
回数券とは、複数回分の施術をまとめてご購入いただくシステムのことです。
例えば「10回分の施術券」をセットで販売し、都度払いよりもお得な料金設定にするのが一般的な形ですね。
都度払いが1回ごとにお支払いいただく方法であるのに対し、回数券はあらかじめまとまった金額をお支払いいただき、来店のたびに1回分ずつ消化していく仕組みになります。
一般的な回数設定としては、以下のようなパターンをよく見かけます。
- 5回券:初めて回数券をご購入される方向け、お試し感覚で
- 10回券:最も人気が高く、効果を実感しやすい回数
- 20回券:本格的なお悩み改善や長期的なメンテナンス向け
施術メニューやお客様の目標によって、最適な回数は変わってきますね。
フェイシャルであれば5〜10回、痩身であれば10〜20回といったように、効果を実感していただける回数を基準に考えていくことが大切です。
なぜエステ業界で回数券が主流なのか
エステサロンで回数券が広く導入されている背景には、エステティックというサービスの特性があるんです。
継続施術が前提のビジネスモデル
エステの施術は、1回だけで劇的な変化をもたらすものではありませんよね。肌質の改善や体型の変化、筋肉のコリの解消など、どの施術も継続的に受けていただくことで、少しずつ効果が積み重なっていくものです。
そのため、ただ回数を重ねるだけではなく、最初から「継続して通っていただくこと」を前提としたサービス設計が求められます。回数券は、この継続来店を自然に促してくれる仕組みとして機能するんですね。
効果実感には複数回の施術が必要
例えば、フェイシャルエステで肌のターンオーバー(約28日周期)に合わせた施術を行う場合、最低でも3〜5回は継続していただきたいところです。
痩身エステでも、体質改善や脂肪燃焼の効果を実感していただくには、2〜3ヶ月間の定期的な施術が欠かせません。
このように、お客様に本当の意味で満足していただくためには、ある程度の回数が必要になります。
回数券という形でまとめてご購入いただくことで、お客様も「しっかり通おう」という意識を持ちやすくなるんです。
お客様との長期的な関係構築
回数券をご購入いただくということは、お客様がサロンを信頼してくださっている証でもありますよね。
「このサロンなら、私の悩みを解決してくれそう」という期待感があるからこそ、まとまった金額をお支払いいただけるのだと思います。
この信頼関係を大切にし、期待を上回る結果をご提供することで、回数券終了後も継続的にご来店いただける「ロイヤルカスタマー」へと育てることができます。
エステが回数券を導入する5つのメリット
【メリット①】まとまったキャッシュフローが確保できる
回数券の大きなメリットの一つが、まとまった現金を先にいただけることなんです。
これは「前受金」と呼ばれ、サロン経営において非常に心強い存在になってくれます。
前受金による資金繰り改善
サロン経営では、家賃や光熱費、商材費、広告費など、様々な経費が毎月発生しますよね
特に開業したばかりの時期は、お客様がまだ少なく、売上も不安定になりがちです。
回数券を販売することで、例えば10万円、20万円といったまとまった金額が一度に入ってきます。
これにより、翌月以降の経費支払いに対する不安が軽減され、精神的にも余裕を持って経営に取り組めるようになるんですね。
集客投資への原資確保
多くのサロンオーナーさんが直面する課題の一つが、「集客にお金をかけたいけれど、手元に資金がない」という状況ではないでしょうか?
集客には、ホットペッパービューティーなどのポータルサイト掲載費、SNS広告、チラシ制作費など、先行投資が必要になります。
ただ都度払いだけの運営では、毎月の売上が読めず、積極的な集客投資に踏み切れないこともありますよね。
回数券による前受金があれば、この資金を次の集客活動に回すことができます。
新規のお客様を獲得し、その方にまた回数券をご購入いただく。
この好循環を作ることで、サロンの成長スピードを加速させることが可能になります。
開業初期の資金不足解消
開業して間もない時期は、社会的信用も乏しく、銀行からの借入やクレジットカードの与信枠も限られていることが少なくありません。
このような状況で、手元資金が不足すると、必要な設備投資や広告費を捻出できず、事業の成長が停滞してしまうことも考えられます。
回数券は、このような資金不足を解消する有効な手段の一つになってくれるんです。
開業初期こそ、回数券というまとまったキャッシュを確保できる仕組みを整えることが、サロンの安定経営につながっていくと考えられます。
【メリット②】リピート率が向上し売上が安定する
回数券は、お客様のリピート率を高める心理的な仕組みとして、とても効果的なんです。
心理的な来店ハードルの低下
都度払いの場合、来店するたびに「今月は行こうか、やめようか」という判断が発生してしまいますよね。
お財布の状況や忙しさによって、つい先延ばしにしてしまうことも少なくないかもしれません。
一方、回数券をすでにご購入いただいているお客様は、「もう支払いは済んでいるから」という安心感があり、予約のハードルがぐっと下がります。金銭的な躊躇なく、気軽にご予約いただけるようになるんですね。
「もったいない」という心理効果
人間には「損失回避」という心理があると言われています。すでに支払ったお金を無駄にしたくない、という気持ちが働くんですね。
回数券をご購入いただいたお客様は、「せっかく買ったのだから、ちゃんと使わないともったいない」という意識が生まれやすくなります。
この心理効果により、自然と定期的な来店が促進されていくんです。
ただし、この心理効果だけに頼るのではなく、きちんと効果を実感していただくことが大前提となります。
「もったいないから通う」だけでなく、「効果を感じるから通いたい」と思っていただける施術とフォローが何より大切ですね。
顧客生涯価値(LTV)の向上
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、お一人のお客様が長期的にサロンにもたらしてくださる価値のことを指します。
回数券をご購入くださるお客様は、サロンへの信頼度が高く、継続的に通ってくださる傾向があります。
初回の回数券を使い切った後も、次の回数券をご購入くださったり、都度払いで長く通い続けてくださったりと、LTV(顧客生涯価値)が高くなる傾向が見られるんです。
新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍とも言われています。
回数券によってお客様との関係を深め、LTVを高めることは、長期的な経営安定につながる大切な戦略と言えるでしょう。
【メリット③】計画的な施術プランが立てやすい
回数券があることで、お客様お一人おひとりに対して、より計画的で効果的な施術をご提供できるようになります。
来店回数が予測できる
都度払いの場合、次回いつ来店されるか、あるいはもう来店されないのか、サロン側では予測が難しいですよね。
ただ回数券をご購入いただいているお客様であれば、少なくとも券面の回数分は来店される可能性が高いと考えられます。
この予測可能性により、予約枠の管理や材料の発注なども効率的に行えるようになるんです。
効果的な施術スケジュールの設計
お客様のお悩みや目標に対して、「週1回のペースで3ヶ月間、計12回の施術が理想的」といった具体的なプランを立てることができます。
回数券という形で事前にご納得いただくことで、このような理想的なスケジュールでの施術が実現しやすくなるんですね。「来週も来てくださいね」というご提案も、回数券があれば自然に行えます。
例えば、「今日は筋肉の緊張をほぐしましたので、次回は骨格の歪みを整えていきましょう。1週間後にまたご予約をお取りできますか?」といった具体的なご提案ができるようになります。
お客様の変化を継続的に観察できる
定期的にご来店いただくことで、お客様の肌質や体型、体調の変化を継続的に観察できます。これにより、施術内容を都度最適化し、より効果的なアプローチが可能になるんです。
また、お客様ご自身も、継続的に通うことで少しずつ変化を実感できます
「前回と比べてこんなに変わりましたね」という会話を通じて、満足度をさらに高めることができますよね。
【メリット④】顧客満足度の向上につながる
適切に運用された回数券は、お客様の満足度を大きく向上させる要素になってくれます。
お得感のご提供
回数券は通常、都度払いよりも割引された料金設定になっています。
例えば、1回1万円の施術が10回で9万円(10%オフ)になるといった形ですね。
お客様にとっては、同じ施術を受けるなら少しでもお得に受けたいという気持ちがあるかと思います。
回数券という選択肢をご用意することで、この「お得に通える」という満足感をご提供できるんです。
ただし、割引率が高すぎると利益が圧迫されますし、安さだけで選ばれるサロンになってしまうリスクもあります。10〜20%程度の割引率が、お客様の満足感とサロンの利益のバランスが取れる目安になるのではないでしょうか。
継続による効果実感
前述の通り、エステの効果は継続によって実感していただけるものですよね。
1回だけの施術で満足できなかったお客様が、「やっぱりエステは効果がない」と感じて離れていってしまうことは、サロン側にとってもお客様にとっても残念なことだと思います。
回数券によって継続的に通っていただくことで、本当の効果を実感していただけます。
「最初はあまり変化がわからなかったけれど、5回目くらいから明らかに肌の調子が良くなった」という体験は、お客様の大きな満足につながるんですね。
信頼関係の構築
回数券をご購入いただくという行為は、お客様がサロンを信頼してくださっている証です。
そして、その信頼に応えることで、さらに深い信頼関係が生まれていきます。
定期的なご来店を通じて、お客様の好みや体質、ライフスタイルなども深く理解できるようになります。
「○○さんは最近お仕事が忙しいから、今日はリラックス重視の施術にしよう」といった、パーソナライズされたサービスがご提供できるようになるんですね。
この信頼関係こそが、回数券終了後も長く通い続けていただける基盤になっていきます。
【メリット⑤】新規集客コストを抑えられる
回数券による既存顧客の囲い込みは、新規集客への依存度を下げ、経営を安定させる効果が期待できます。
既存顧客の継続による安定収益
マーケティングの世界では「1:5の法則」というものがあります。
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる、という法則なんです。
回数券によって既存のお客様に継続的に通っていただくことで、高いコストをかけて新規顧客を獲得し続ける必要性が減少していきます。
既存顧客からの安定した収益があれば、経営の基盤が安定し、精神的にも余裕を持って運営できるようになりますね。
新規依存からの脱却
新規顧客の獲得だけに頼る経営は、リスクが高いと言えます。広告費は年々高騰する傾向にありますし、地域によっては新規顧客を獲得できる母数にも限界があるかもしれません。
「今月は新規が少なかったから売上が厳しい」「広告費を上げないと新規が来ない」というような、不安定な経営状態を「ジェットコースター経営」と呼びます。
回数券による安定したリピート収益があれば、このジェットコースター経営から抜け出せる可能性が高まります。
新規集客はもちろん大切ですが、それだけに依存しない経営基盤を作ることが、長期的な成功につながっていくのではないでしょうか。
口コミ促進効果
回数券をご購入して継続的に通い、効果を実感してくださったお客様は、サロンの良さを周囲に広めてくださる可能性が高くなります。
「私が通っているサロン、すごく良いよ」という自然な口コミは、どんな広告よりも強力な集客ツールです。
満足度の高いお客様を増やすことが、結果的に広告費をかけずに新規顧客を呼び込むことにつながるんですね。
見落としがちな回数券の5つのデメリットとリスク
メリットが多い回数券ですが、デメリットやリスクも存在します。これらを理解した上で、適切な対策を講じることが大切です。
【デメリット①】施術単価が下がる可能性がある
回数券は通常、割引を適用して販売します。そのため、1回あたりの施術単価が下がることは避けられません。
割引による利益率の低下
例えば、通常1回1万円の施術を10回で8万円(20%オフ)で販売した場合、1回あたりの単価は8,000円になりますよね。材料費や人件費、家賃などの固定費を考慮すると、この単価では利益が薄くなってしまう可能性があります。
特に、過度な割引競争に巻き込まれると、「安さ」だけでお客様を集めることになり、利益を確保できない状態に陥ってしまうかもしれません。
適切な価格設定の重要性
回数券を導入する際は、必ず利益シミュレーションを行うことをおすすめします。
- 材料費(化粧品、タオル、アメニティなど)
- 人件費(自分の時給換算、スタッフがいれば給与)
- 固定費の配分(家賃、光熱費、広告費など)
これらを考慮した上で、「この割引率なら利益が確保できる」という価格設定を行うことが大切です。
利益シミュレーションの必要性
回数券の価格設定をする際は、以下のような計算を行ってみることをおすすめします。
【例】
- 通常価格:1回10,000円
- 10回回数券:90,000円(10%オフ)
- 1回あたり単価:9,000円
- 材料費:1回あたり1,500円
- 人件費:1回あたり3,000円(60分施術の場合)
- 固定費配分:1回あたり2,000円
- 利益:9,000円 – 6,500円 = 2,500円
この計算で、1回あたり2,500円の利益が確保できるかどうかを判断していきます。利益が薄すぎる場合は、割引率を下げるか、通常価格自体を見直す必要があるかもしれませんね。
【デメリット②】予約管理の複雑化
回数券を導入すると、都度払いだけの時と比べて管理業務が増えてきます。
残回数の管理負担
お客様ごとに「あと何回残っているか」を正確に管理する必要があります。
紙の回数券であれば、来店時にスタンプを押したりパンチで穴を開けたりしますが、紛失のリスクもありますよね。
デジタル管理の場合も、システムへの入力ミスや更新漏れがあると、お客様とのトラブルにつながる可能性があります。
有効期限の設定と管理
回数券には通常、有効期限を設定します。この期限管理も大切な業務になってきます。
有効期限が近づいているお客様には、リマインドのご連絡をすることで来店を促すことができますが、この連絡業務も手間がかかりますよね。
また、期限切れになった場合の対応方針(延長するか、返金するかなど)も事前に決めておく必要があります。
システム導入の検討
回数券の管理を効率化するには、予約管理システムやPOSレジシステムの導入が効果的です。
最近では、回数券の残数管理や有効期限のアラート機能、自動リマインド送信機能などを備えたシステムも増えています。初期費用はかかりますが、長期的には業務効率化とミス防止につながるのではないでしょうか。
特に、お一人で運営されている個人サロンの場合、管理業務に時間を取られすぎると、本来の施術やお客様対応に支障が出る可能性もあります。
ご自身の時間をどう使うかを考え、必要に応じてシステム投資を検討してみることもおすすめです。
【デメリット③】契約関連の手続きが必要になる
回数券を販売する際、金額や期間によっては、きちんとした契約書面を交わすことが推奨されます。
一定条件下での書面交付の必要性
エステサロンで一定金額以上、一定期間以上の契約を行う場合、消費者保護の観点から適切な書面を交付することが望ましいとされています。
具体的には、サービス内容、料金、有効期限、解約時の取り決めなどを明記した書面をご用意し、お客様にお渡しすることで、後々のトラブルを防ぐことができるんですね。
専門家への相談の重要性
契約関連の対応については、専門的な知識が必要な場合もあります。
不安がある場合は、行政書士や弁護士、業界団体などに相談することをおすすめします。
特に、高額な回数券を販売する場合や、長期間の契約を結ぶ場合は、事前にしっかりと準備しておくことが大切ですね。
適切な運用体制の構築
書面の作成や交付、記録の保管など、適切な運用体制を整えることで、お客様との信頼関係を強化できます。
「このサロンはきちんとしている」という印象を持っていただくことは、サロンのブランド価値を高めることにもつながっていきます。
【デメリット④】途中離脱のリスク
回数券をご購入いただいても、最後まで消化されずに途中で離脱されてしまうケースがあります。
消化されない回数券の問題
お客様が回数券をご購入されたものの、お忙しさや引越し、満足度の低下などの理由で途中で来なくなってしまうことがあるんです。
販売時点では売上として計上できますが、実際には施術をご提供していないため、お客様との関係が途切れてしまいます。これでは、本来の目的である「継続的な関係構築」が達成できませんよね。
新規依存モデルへの陥穽
もし多くのお客様が回数券を途中で離脱してしまうと、サロンは常に新規顧客を獲得し続けなければならなくなります。これは、回数券導入の本来の目的である「安定経営」とは真逆の状態です。
「回数券を売る」ことがゴールではなく、「回数券を使い切っていただき、満足していただく」ことがゴールであることを忘れないようにしたいところです。
顧客満足度低下のリスク
途中で離脱されるということは、何らかのご不満や問題があった可能性が高いです。
- 施術効果が感じられなかった
- 予約が取りにくかった
- スタッフの対応にご不満があった
- 思っていたサービスと違った
こうした問題を放置すると、ネガティブな口コミにつながる可能性もあります。定期的にお客様の満足度を確認し、問題があれば早期に対処することが大切ですね。
【デメリット⑤】スタッフのモチベーション管理
スタッフを雇用されているサロンの場合、回数券の導入が給与体系やモチベーションに影響を与えることがあるんです。
歩合制との相性問題
多くのサロンでは、スタッフの給与に歩合制を採用していますよね。売上の一定割合をスタッフの給与としてお支払いする仕組みです。
回数券の場合、ご購入時に売上が立ちますが、実際の施術は数ヶ月にわたって行われます。このタイミングのずれが、給与計算を複雑にしてしまうんです。
例えば、あるスタッフが10万円の回数券を販売した月は歩合給が増えますが、その後の数ヶ月間、回数券の消化で施術をしても歩合給は発生しない(またはごく少額)というケースが考えられます。
売上計上のタイミング
回数券の売上を「販売時に一括計上」するか、「消化時に都度計上」するかで、スタッフの歩合給の計算方法も変わってきます。
どちらの方法を採用するにしても、スタッフにとって納得感のある給与体系を設計することが、モチベーション維持には不可欠ですね。
給与体系の見直し
回数券を本格的に導入するなら、給与体系自体を見直すことも検討してみることをおすすめします。
例えば、「回数券販売時のインセンティブ」と「施術実施時の基本給」を組み合わせた体系にするなど、販売と施術の両方を評価する仕組みを作ることで、スタッフの不公平感を減らすことができるかもしれません。
また、回数券の消化率(最後まで使っていただけた割合)を評価指標に加えることで、「売って終わり」ではなく、「お客様に満足して通い続けていただく」ことを重視する文化を作ることもできますね。
回数券導入に適したタイミングの見極め方
回数券を導入すべきか、都度払いに移行すべきか。この判断を誤ると、経営が一気に傾いてしまう可能性があるんですね。
多くのサロンオーナーさんが「回数券は良くないのでは?」と不安になって、安易に都度払いへ切り替えてしまうケースを見てきました。しかし、回数券が必要なフェーズと、卒業すべきフェーズがあるんです。
ここでは、その見極め方を具体的にお伝えしていきますね。
導入すべきフェーズとは?「稼働率50%ルール」
回数券を導入すべきかどうかを判断する、とてもシンプルな基準があります。それが「稼働率50%ルール」なんです。
まず、あなたのサロンの稼働枠を計算してみてください。
- 1日に対応できる人数:例えば5人
- 月間営業日数:例えば25日
- 月間稼働枠:5人 × 25日 = 125枠
この125枠のうち、毎月1回以上定期来店してくれるリピート顧客で何枠が埋まっているでしょうか。
もし50%(この例では62.5枠)も埋まっていない場合、あなたのサロンはまだ都度払いへの移行は時期尚早かもしれません。
なぜ50%なのか。それは、この数字を下回っている状態だと、集客に必要な先行投資ができる資金的余裕がないからなんですね。
稼働率50%未満の場合にやるべきこと
- 回数券・コースでまとまったキャッシュを確保する
- そのキャッシュで積極的に集客投資していく
- リピート顧客を着実に増やしていく
- 顧客にしっかり回数券を「消化」していただく仕組みを作る
この段階では、回数券は「悪」ではなく、成長のための「必要なツール」と言えるんです。
逆に、稼働率が50%を超えてきたら、徐々に都度払いやサブスクリプションなど、他の料金形態も併用していくタイミングと考えられますね。
都度払いへの移行を検討すべきタイミング
では、どのような状態になったら都度払いへの移行を検討できるのでしょうか。
都度払い移行の条件
- 稼働率50%以上がリピート顧客で埋まっている 毎月1回以上定期来店するお客様が、自分の稼働枠の半分以上を占めている状態ですね。
- 回数券・コースの成約率が50%以上ある 新規のお客様に回数券やコースをご提案したとき、半数以上の方が購入してくれている状態。これは、あなたの提案力と商品設計が適切である証拠なんです。
- 回数券の消化率が高い 購入したお客様が、途中離脱せずに最後まで通い切ってくれている。これは、お客様が「通う価値」を実感できている証拠と言えるでしょう。
- 手元資金に余裕がある 集客に投資できる現金、またはクレジットカードの与信枠が十分にある状態。都度払いは月々の売上が平準化されるため、集客投資の原資確保が重要になってきます。
これらの条件が揃って初めて、都度払いへの移行を検討できるんですね。
都度払い移行後の注意点
都度払いに移行したからといって、完全に回数券をやめる必要はありません。
- 新規のお客様には初回の通院期間だけ回数券を提案
- 既存のリピート顧客は都度払い
- 特別なコースやアップセルは回数券
このように「併用型」で運用しているサロンも多く、これが最も安定した経営スタイルかもしれませんね。
サブスクリプションとの使い分け
最近では、月額定額制のサブスクリプション型料金を導入するサロンも増えてきました。サブスクは都度払いと回数券の中間的な性質を持つシステムなんですね。
サブスクのメリット
- 毎月安定した売上が見込める
- お客様にとって支払いのハードルが低い
- 定期来店の習慣がつきやすい
- 月謝感覚で通っていただける
サブスクのデメリット
- 解約されやすい(通わないとすぐ解約検討される)
- 利用頻度が低いと不満につながりやすい
- 価格設定が難しい
- 消化させる仕組みがないと、回数券以上に離脱率が高くなる可能性がある
サブスクリプションも、実は「お客様をしっかり通わせる仕組み」がなければ、回数券以上に解約率が高くなってしまうことがあるんです。
Amazonプライムのような数百円〜数千円のサブスクでさえ、使わなければ解約されますよね。
それが月2〜3万円のサロンのサブスクなら、なおさらシビアに判断されてしまうかもしれません。
サブスク導入のタイミング
サブスクを導入するなら、以下の条件を満たしてからをおすすめします。
- 稼働率70%以上がリピート顧客で埋まっている
- 既存顧客の定期来店率が非常に高い
- 予約管理や顧客フォローの体制が整っている
- 通い続けたくなる「価値」を継続的に提供できる
サブスクは「上級者向け」の料金システムと考えた方が良さそうですね。
失敗しない回数券の作り方と料金設定
回数券を導入すると決めたら、次は「どんな回数券を作るか」が重要になります。
適当に作った回数券は、お客様に選ばれないばかりか、購入後の満足度も低くなってしまうんですね。
ここでは、お客様に喜ばれる回数券の設計方法をお伝えしていきます。
適切な回数設定の考え方
回数券を作るとき、「何回にすればいいんだろう?」と悩まれる方が多いんです。
実は、回数設定には明確な根拠が必要なんですね。
回数は「お客様のゴール達成に必要な期間」から逆算する
例えば、腰痛改善の整体の場合を考えてみましょう。
- お客様の現状を把握(ぎっくり腰で痛みが強い)
- ゴールを設定(3ヶ月後に痛みのない生活)
- そのために必要な施術頻度を計算(最初の1ヶ月は週1回、その後は2週に1回)
- 回数を算出(週1×4回 + 2週に1×4回 = 8〜10回)
このように、「お客様の症状が改善するまでに、どれくらいの頻度で何回通う必要があるか」から回数を決めていくんです。
よくある失敗パターン
- 「10回がキリがいいから10回券」
- 「他のサロンも6回だから6回券」
- 「たくさん通ってほしいから20回券」
これらは全て、お客様の改善プロセスを無視した回数設定なんですね。
回数券の種類は複数用意する
お客様の症状や目標は様々ですよね。以下のように、いくつかのパターンを用意しておくと良いでしょう。
- 短期集中型:3ヶ月10回(症状改善メイン)
- 定期メンテナンス型:6ヶ月12回(改善後の維持)
- 体質改善型:6ヶ月20回(根本的な体質改善)
ただし、選択肢を増やしすぎると迷わせてしまうので、2〜3種類程度がベストかもしれませんね。
料金設定の基本原則
回数券の料金設定は、多くのサロンオーナーさんが悩むポイントですよね。
料金設定の3つの原則
1. 都度払いより「お得感」は必要だが、割引しすぎない
回数券を購入するメリットの一つは「お得さ」ですが、割引率が高すぎると、あなたのサロンの利益を圧迫してしまいます。
適切な割引率の目安:10〜15%程度
例)
- 1回あたり10,000円の施術
- 10回券:95,000円(1回あたり9,500円、5%オフ)
- 20回券:170,000円(1回あたり8,500円、15%オフ)
20%、30%と大幅に割引する必要はありません。それよりも、「確実に結果を出すこと」「通いやすいサポート体制」など、価値で選んでいただくことが大切なんですね。
2. 自分の施術価値を適正に評価する
安売りは禁物です。あなたの技術、知識、経験には正当な価値がありますから。
料金を決める際は、以下を考慮してみてください。
- あなたの技術習得にかけた時間と費用
- 施術にかかる時間とコスト
- お客様が得られる価値(痛みからの解放、美しさなど)
- 地域相場(ただし、安易に合わせる必要はないでしょう)
3. 「安いから買う」ではなく「価値があるから買う」設計に
松竹梅で「真ん中が選ばれやすい」といった心理テクニックに頼るのではなく、「このプランなら私の悩みが解決しそう」と思っていただける設計を心がけましょう。
そのためには、各回数券プランの「誰に」「どんな結果を」「どのように提供するか」を明確にすることが大切なんですね。
有効期限の設定ポイント
有効期限の設定も、実は重要なポイントなんです。
有効期限を長くしすぎる問題
「お客様への安心のため」と、必要以上に長い有効期限を設定していませんか?
例:3ヶ月で通い切る10回券に、有効期限6ヶ月
これは一見親切に見えますが、実は以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- お客様の来店ペースが落ちる
- 結果が出にくくなる
- 途中離脱のリスクが高まる
- 「いつでも行けるから」と後回しにされる
適切な有効期限の考え方
有効期限は「理想的な通院ペース × 回数 + 1ヶ月程度の余裕」で設定するのがおすすめです。
例:
- 週1回ペースで10回通うプラン:3ヶ月(10週 + 予備)
- 2週に1回で12回通うプラン:7ヶ月(24週 + 予備)
この余裕分は、お客様の急な予定変更や体調不良などに対応するためのものなんですね。
「期限が短すぎると不安」というお客様には、最初のカウンセリングで丁寧に説明することで理解していただけるはずです。
顧客に喜ばれる回数券販売の実践テクニック

回数券の設計ができたら、次は「どう提案するか」が重要になってきます。押し売りと思われずに、お客様に心から納得して購入していただくためのテクニックをお伝えしますね。
押し売りにならない提案方法
回数券の販売で最も大切なのは、「お客様のため」という姿勢を貫くことなんです。
NGな提案方法
- 「今日契約しないと損ですよ」とプレッシャーをかける
- 「皆さん買っていますよ」と同調圧力を使う
- 松竹梅の料金表を見せて、真ん中を誘導する
- サインするまで席を立たせない雰囲気を作る
これらは全て、大手サロンが潰れた原因でもある「押し売り」の典型例ですよね。
正しい提案方法
回数券の提案は、お客様が「通う必要性」を理解した後に、自然な流れで行うのがベストです。
提案の流れ(整体の例)
- 現状の把握 「今日はぎっくり腰でお辛いんですね。どのような時に痛みが出ますか?」
- 原因の説明 「検査の結果、〇〇さんの場合、股関節の硬さが腰痛の原因になっているようです」
- 改善プロセスの提示 「今日の施術で一時的に痛みは和らぎますが、根本改善には週1回のペースで3ヶ月、約10回の施術が必要になります」
- 各回の説明 「1〜4回目は痛みを取りながら股関節をほぐしていきます。5回目以降は姿勢を整えて、再発しない体づくりをしていきますね」
- 次回予約の提案 「次回は3日後から1週間以内にお越しいただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」
- 回数券の提示(自然な流れで) 「ちなみに、当サロンではこのような応援プランもご用意しています。もしよろしければご覧になってみてください」
この流れなら、お客様は「自分の体を良くするために必要なんだ」と理解した上で、回数券を検討できますよね。
効果的な説明の3つのポイント
回数券を説明する際、以下の3つのポイントを押さえると、お客様の理解が深まります。
ポイント①:お客様の「なりたい未来」を明確にする
「腰痛がなくなったら、何をしたいですか?」
お客様自身に、痛みから解放された未来をイメージしていただくんです。すると、「そのために通う必要がある」と自然に納得していただけます。
ポイント②:プロセスを「見える化」する
お客様が知りたいのは、以下の3つです。
- 今の自分の状態(A地点)
- なりたい自分の状態(B地点)
- AからBへどうやってたどり着くか(プロセス)
このプロセスを、図や表、または丁寧な言葉で説明することで、お客様は「この先生は信頼できる」と感じてくれるんですね。
ポイント③:選択肢を与える
「当サロンでは、都度払いでも回数券でも、どちらでも構いません。〇〇さんはどちらが良いですか?」
お客様に選択権があることを伝えることで、押し売り感がなくなります。そして、プロセスに納得していれば、多くのお客様が回数券を選んでくれるはずです。
回数券購入後のフォロー体制
回数券を購入していただいたら、ゴールではなくスタートなんです。ここからが本当に大切なフォロー期間になります。
フォローの3つの柱
1. 定期的な連絡
LINEやメールで、次回予約のリマインドや、セルフケアのアドバイスを送りましょう。
- 施術後3日:「その後、お体の調子はいかがですか?」
- 次回予約の前日:「明日のご予約、お待ちしていますね」
- 施術の合間:「〇〇さんにおすすめのストレッチ動画をお送りします」
2. 進捗の見える化
「今日で5回目ですね。あと5回で目標達成です!」
お客様が今どの段階にいるのかを、毎回伝えてあげることで、モチベーションが維持されます。
3. 成果の共有
「初回と比べて、ここの可動域がこんなに改善しましたよ!」
ビフォーアフターの変化を、写真や数値で示すことで、お客様は「ちゃんと良くなってる!」と実感できるんですね。
エステの回数券で失敗する本質的な理由と対策
多くのサロンが「回数券を販売したのに、お客様が途中で来なくなった」という経験をしていますよね。
これには本質的な理由があるんです。
「なんとなく買わされた」を防ぐために
回数券の途中離脱で最も多い理由、それは「なんとなく買っちゃった」というお客様の心理状態なんです。
「なんとなく」が生まれる原因
- 施術者の説明が不十分だった
- お客様自身のゴールが曖昧だった
- 割引に惹かれて、必要性を理解せずに購入した
- 断りづらい雰囲気で仕方なく購入した
これらの状態で購入したお客様は、数回通ったところで「やっぱり面倒だな」「別に行かなくてもいいか」と感じてしまうんですね。
「なんとなく」を防ぐ方法
購入前に、以下を必ず確認しましょう。
- 「〇〇さんは、どんな状態になりたいですか?」(ゴールの確認)
- 「そのためには、このようなプロセスが必要です」(理由の説明)
- 「納得いただけましたか?何か不安な点はありますか?」(理解の確認)
お客様が心から納得した状態で購入していただくことが、途中離脱を防ぐ第一歩なんです。
エステの継続で途中離脱を防ぐ3つの鉄則
回数券を最後まで使っていただくためには、購入後の関わり方が重要になってきます。
鉄則①:予約を「先々まで」取る
回数券を購入したその場で、できるだけ多くの予約を取りましょう。
- 理想:全ての回の予約を取る
- 最低でも:次回と次々回の2回分
「予約が入っている」という物理的な予定が、来店の習慣を作ってくれるんです。
鉄則②:施術のたびに「次回予告」をする
「次回は〇〇をしていきます。そうすると△△な変化が出てくるはずです」
毎回、次回の施術内容とその効果を予告することで、お客様は「次も楽しみ」と思ってくれますよね。
鉄則③:変化を一緒に喜ぶ
「前回より、ここが柔らかくなりましたね!」 「最初は痛くて動けなかったのに、すごい進歩ですよ!」
小さな変化でも、一緒に喜び、褒めること。これが、お客様のモチベーションを維持する最大の秘訣なんです。
回数券を「消化させる」仕組みづくり
回数券は「売って終わり」ではなく、「使っていただいて初めて価値がある」ものですよね。
消化率を上げる具体的な仕組みについて説明していきたいと思います。
1. 来店サイクルをシステム化する
「当サロンでは、〇〇さんのような症状の方には、週1回のペースをおすすめしています」
理想の来店ペースを明確に伝え、それに沿った予約システムを作りましょう。
2. 予約リマインドを自動化する
LINEやメールで、自動的に次回予約のリマインドが届く仕組みを作ると、予約忘れがなくなります。
3. 有効期限を適切に設定する
先ほども触れましたが、長すぎる有効期限は「まだ時間がある」と後回しにされる原因になります。適切な期限が、お客様の背中を押してくれるんですね。
4. 中間カウンセリングを実施する
回数券の中間地点(例:10回券なら5回目)で、改めてカウンセリングの時間を取りましょう。
「ここまでの変化をまとめましょうか。残り5回で、こんな風になっていきますよ」
進捗を確認し、残りのゴールを再確認することで、最後まで通うモチベーションが高まります。
都度払いとの違いとメリット・デメリット比
ここまで回数券のお話をしてきましたが、改めて都度払いとの違いを整理してみましょう。どちらが良いということではなく、フェーズによって使い分けることが大切なんですね。
都度払いのメリット
都度払いにも、もちろんメリットがあります。
お客様側のメリット
- 初回の支払いハードルが低い
- 気軽に試せる
- 合わないと思ったらすぐやめられる
- まとまったお金を用意する必要がない
サロン側のメリット
- 「押し売り」と思われにくい
- クリーンなイメージを保てる
- お客様との信頼関係を丁寧に築ける
- 1回1回の施術に全力を注げる
特に、すでに十分なリピート顧客が確保できているサロンにとっては、都度払いは理想的な料金形態と言えるでしょう。
都度払いのデメリット
一方で、都度払いには以下のようなデメリットもあるんです。
お客様側のデメリット
- 毎回支払いの手間がかかる
- 回数券より割高になる
- 「次も絶対行く」という決意が弱まりやすい
サロン側のデメリット
- 月々の売上が予測しづらい
- まとまったキャッシュが入らない
- 集客投資に回せる資金が不足しがち
- リピートが続くかどうか不安定
特に開業初期で、まだ顧客基盤ができていない段階では、これらのデメリットが経営を圧迫する可能性があるんですね。
回数券と都度払いの併用戦略
実は、多くの成功しているサロンは、回数券と都度払いを「併用」しているんです。
併用パターン①:顧客のフェーズで使い分け
- 新規のお客様:初回は回数券をおすすめ(通う習慣づくり)
- リピート顧客:都度払いでOK(すでに信頼関係ができている)
- メンテナンス期:都度払い(不定期来店でも問題ない)
併用パターン②:メニューで使い分け
- 通常施術:都度払い
- 特別コース(ダイエット、集中ケアなど):回数券
- メンテナンス:都度払いまたはサブスク
併用パターン③:お客様の希望で使い分け
「都度払いでも回数券でも、どちらでも構いません。〇〇さんはどちらがご希望ですか?」
このように、お客様に選択していただくスタイルも増えていますね。
重要なのは、「回数券か都度払いか」という二択ではなく、お客様の状況とサロンのフェーズに合わせて柔軟に対応することなんです。
個人サロン・自宅サロンでの回数券運用のコツ
大手サロンと個人サロンでは、回数券の運用方法が異なってきます。個人サロンならではの強みを活かした運用のコツをお伝えしますね。
小規模サロンならではの強み
個人サロンには、大手にはない大きな強みがあるんです。
強み①:一人ひとりに寄り添える
大手サロンのように、毎回担当者が変わることがありません。お客様の体の状態、好み、生活スタイルまで、しっかり把握できるんですね。
この信頼関係があれば、回数券も自然な形で提案できますし、途中離脱も起こりにくくなります。
強み②:柔軟な対応ができる
「今月は忙しくて来られない」というお客様に対して、有効期限を少し延長してあげる、といった柔軟な対応ができるのも個人サロンの強みですよね。
強み③:「顔が見える」安心感
大手の倒産ニュースが続く中、「この人なら信頼できる」という顔の見える関係性は、お客様にとって大きな安心材料になっているんです。
管理負担を減らす工夫
個人サロンでは、すべてを一人でこなさなければならないため、管理負担を減らす工夫が必要になってきます。
予約管理システムの活用
無料または低価格で使える予約システムを導入しましょう。
- Stores予約
- RESERVA
これらを使えば、予約の受付、リマインド、回数券の管理まで自動化できますね。
シンプルな回数券設計
種類を増やしすぎないことも大切です。
- 基本の回数券:1種類(例:10回券)
- 特別コース:1〜2種類
シンプルであればあるほど、説明もしやすく、管理も楽になります。
テンプレート化
説明トーク、LINE配信文、カウンセリングシートなど、繰り返し使うものはテンプレート化しておくと、時間短縮になりますよね。
少額回数券という選択肢
個人サロンでは、いきなり10万円以上の回数券を販売するハードルが高いこともあるでしょう。
そんな時は、「少額回数券」という選択肢もあるんです。
少額回数券の例
- 3回券:25,000円(1回あたり8,333円、通常9,000円)
- 5回券:40,000円(1回あたり8,000円、通常9,000円)
少額でも、お客様に「通う習慣」をつけていただくことができれば、その後のリピートにつながりやすくなります。
そして、3回券や5回券を使い切ったお客様に、「次は10回券でじっくり体質改善しませんか?」と提案することもできますよね。
階段を登るように、少しずつステップアップしていただく方法も有効なんです。
大手チェーンの失敗事例から学ぶ教訓
2024年から2025年にかけて、大手のエステサロンや整体チェーンが相次いで経営破綻しました。
私たち個人サロンも、この失敗から学ぶべきことがたくさんあるんです。
新規依存モデルの落とし穴
大手が陥った最大の問題、それは「新規依存モデル」でした。
新規依存モデルとは
- 回数券を売ることが目的になっている
- 回数券を買わせたら、その後のフォローが薄い
- お客様が途中で離脱しても、また新規を集めればいいという考え方
- 結果として、リピート率は高いように見えても、実は「更新率」が低い
このモデルの何が問題かというと、お客様が貯まっていかないことなんです。
常に新規集客をし続けなければならず、広告費がかさみ、スタッフは疲弊し、最終的には地域での評判も落ちていく…という悪循環に陥ってしまうんですね。
新規依存を避けるために
- 回数券は「売って終わり」ではなく、「消化させてナンボ」
- お客様が目標を達成できるまで、しっかりサポートする
- 更新していただけるような信頼関係を築く
当たり前のことのようですが、これができていないと潰れる原因に。
地域での集客飽和問題
大手チェーンが直面したもう一つの問題、それは「地域での集客飽和」でした。
集客飽和とは
同じ地域で、何年も積極的に新規集客を続けていると、ある日突然、集客ができなくなる現象のことです。
- 広告を出しても反応がない
- 広告費を増やしても新規が来ない
- 地域の人がみんな「もう知っている」状態
つまり、その地域で集客できる人は「取り切ってしまった」状態なんですね。
個人サロンが気をつけるべきこと
個人サロンでも、同じ現象は起こり得ます。
- 新規集客だけに頼らない
- リピート顧客を大切に育てる
- 紹介が生まれる仕組みを作る
- 地域での信頼を積み重ねる
「あのサロン、良かったよ」という口コミが広がるサロンであれば、集客飽和は起こりにくいんです。
業界全体の信頼を守るために
大手の倒産は、業界全体のイメージにも影響を与えます。
「エステって、回数券買わされるんでしょ?」 「整体って、高額な契約させられそうで怖い」
こんな風に、業界全体が悪く見られてしまうと、私たち個人サロンにも影響が及んでくるんですね。
私たち一人ひとりができること
- お客様に誠実に向き合う
- 無理な販売はしない
- 結果にコミットする
- 業界の信頼を守る意識を持つ
「あのサロンは違った。ちゃんと私のことを考えてくれた」
そう思っていただけるサロンが増えることで、業界全体の信頼も回復していくはずです。
まとめ:回数券は「使い方次第」で最強のツールになる
ここまで、回数券のメリット・デメリット、そして正しい運用方法についてお伝えしてきました。最後に、大切なポイントをまとめておきますね。
回数券は「悪」ではない
大手サロンの倒産ニュースを見て、「回数券はダメだ」と思われた方も多いかもしれません。
でも、問題は回数券そのものではなく、その使い方だったんです。
- お客様を「搾取」するために使うのか
- お客様の「目標達成」をサポートするために使うのか
この違いが、すべてを分けるんですね。
適切なタイミングで導入する
稼働率50%ルールを思い出してください。
- 稼働の半分も定期来店顧客で埋まっていない:回数券を活用すべき
- 稼働の半分以上が埋まっている:都度払いや併用型を検討できる
焦って都度払いに移行せず、自分のサロンのフェーズを冷静に見極めることが大切なんです。
お客様に誠実であること
結局のところ、最も大切なのはこれに尽きます。
- お客様の悩みに真剣に向き合う
- 現状からゴールまでのプロセスを明確に示す
- 約束した結果を出すために全力を尽くす
- 無理な販売はしない
この姿勢があれば、回数券は強力な味方になってくれるはずです。
業界全体の信頼を守る意識を
私たち一人ひとりの行動が、業界全体のイメージを作っていきます。
お客様から「あのサロンに行って本当に良かった」と思っていただけるような、誠実な経営を心がけていきましょう。
回数券は、正しく使えば、お客様の目標達成を後押しし、あなたのサロンを成長させる最強のツールになるんです。
この記事でお伝えしたことを、ぜひあなたのサロン経営に活かしてみてくださいね。

