美容室の閑散期にやるべきこと。暇な月の乗り越え方とは?

「今月は予約が全然入らない…」「年末年始は忙しかったのに、1月に入ってからパタッとお客様が減ってしまった」そんな不安を抱える美容室経営者の方は多いのではないでしょうか。
美容室の経営では、どうしても忙しい時期と暇な時期の波が生まれます。クリスマスや年度末に向けて予約が殺到する一方で、その前後には客足が遠のく「閑散期」がやってきます。
しかし、閑散期だからといって何もせずに過ごしてしまうのはとてももったいないことです。実は、この暇な時期こそ美容室の売上を安定させるための大切な準備期間なのです。閑散期の過ごし方次第で、繁忙期の売上が大きく変わってくるといっても過言ではありません。
この記事では、美容室の閑散期がいつなのか、なぜ暇になってしまうのかを解説したうえで、暇な月を上手に乗り越えるための具体的な対策やアイデアをご紹介します。閑散期を「チャンス」に変えて、安定した美容室経営を目指しましょう。
美容室の閑散期・繁忙期はいつ?暇な月を把握しよう
まずは、美容室の閑散期と繁忙期がいつなのかを正確に把握しておくことが大切です。自分のお店がいつ暇になるのかを知っておけば、事前に対策を打つことができます。
美容室が忙しい時期(繁忙期)
美容室が特に忙しくなるのは、主に3月、7月、12月の3つの時期です。
12月は1年で最も忙しい月といわれています。クリスマスや忘年会、そして年末年始に向けて「きれいな髪で新年を迎えたい」というお客様が増えるためです。
特にクリスマス直前から大晦日にかけては予約が集中し、お断りしなければならないケースも珍しくありません。
3月は年度末ということもあり、卒業式や入学式、就職などの節目を迎える方が多い時期です。「新しいスタートに合わせて髪型を変えたい」「フレッシュな印象で新生活を始めたい」という気持ちから、美容室への来店が増えます。
7月は夏休み前ということで、旅行やイベントに備えて髪を整えたいお客様が来店されます。また、暑い季節に向けてさっぱりとしたヘアスタイルに変えたいというニーズも高まります。
美容室が暇な時期(閑散期)
美容業界では「ニッパチ(2月・8月)は暇」という言葉がよく使われます。これは美容室に限らず、多くの業界で当てはまる傾向です。
しかし実際のところ、美容室の閑散期はもう少し幅広く、1月、2月、4月、5月、8月、11月などが該当することが多いです。これらの月に共通するのは、繁忙期の前後であるという点です。
たとえば1月と2月は、年末年始に髪を整えたお客様がしばらく来店しないため、客足が落ち着きます。成人式のある1月上旬は一時的に忙しくなりますが、その後は比較的ゆっくりした時期が続きます。
4月と5月は、年度初めでお客様自身が新生活に追われているケースが多く、美容室に行く余裕がない方も少なくありません。ゴールデンウィーク前には駆け込みの予約が入ることもありますが、全体としては落ち着いた時期です。
8月は夏休み前の7月に来店するお客様が多いため、その反動で客足が減ります。
また、お盆休みで帰省や旅行に出かける方も多く、地域によっては特に閑散とする傾向があります。
11月は年末の繁忙期を控えて「もう少し待てば年末だから」と来店を先延ばしにするお客様が多い時期です。
平日と休日、時間帯による混雑の違い

月ごとの繁閑だけでなく、曜日や時間帯によっても来店数には差があります。
一般的に、平日よりも休日の方が混雑する傾向にあります。休日の中でも土曜日は特に予約が集中しやすく、三連休であれば初日に来店されるお客様が多いです。
平日については、月曜日や木曜日は比較的ゆっくりしていることが多いです。一方、サービス業の方の休日となりやすい水曜日や、週末を控えた金曜日は平日の中でも混雑しやすい傾向があります。
時間帯でいうと、開店直後から午前中、そして学校や仕事帰りの16時以降は忙しくなりやすいです。反対に、12時から15時頃のお昼の時間帯は比較的ゆっくりしています。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、お店の立地や客層によって異なります。自分のお店の予約データを分析して、いつが暇でいつが忙しいのかを把握しておくことが大切です。
美容室の集客が閑散期に落ち込む原因とは
なぜ美容室には閑散期が生まれるのでしょうか。その原因を理解しておくことで、効果的な対策を立てることができます。
季節やイベントによる来店サイクルの偏り
美容室の閑散期が生まれる最大の原因は、お客様の来店タイミングが特定の時期に集中することにあります。
多くの方は「イベントや節目に合わせて髪を整えたい」と考えます。クリスマス、年末年始、卒業式、入学式、夏休みの旅行など、こうしたイベントを控えた時期に美容室への来店が集中するのは自然なことです。
しかしこれは、逆にいえばイベントがない時期には来店の動機が薄れるということでもあります。
「そろそろ髪が伸びてきたけど、まだもう少し大丈夫かな」「もうすぐ年末だから、それまで待とう」という心理が働き、来店を先延ばしにしてしまうお客様も多いのです。
来店サイクルの把握不足
お客様の来店サイクルを美容室側が把握できていないことも、閑散期の売上が落ち込む原因の一つです。
お客様によって髪が伸びるスピードは異なりますし、ライフスタイルによって美容室に行ける頻度も変わってきます。この来店サイクルを理解せずに、すべてのお客様に同じようなアプローチをしていると、予約にムラが生まれてしまいます。
常連のお客様がいつ頃来店されるのか、前回の来店からどのくらい経っているのかを把握できていれば、適切なタイミングでお声がけをすることができます。
しかしこれができていないと、お客様は他のサロンに流れてしまったり、来店間隔が空きすぎてしまったりすることがあります。
新規集客とリピート率のバランスの崩れ
新規顧客の集客ばかりに力を入れて、リピート率の向上をおろそかにしている美容室は、閑散期の影響を受けやすい傾向にあります。
新規のお客様を獲得するには、広告費や時間などのコストがかかります。せっかく集客したお客様がリピートしてくれなければ、常に新規集客を続けなければならず、閑散期には特に苦しい状況に陥ります。
一方、リピート率が高い美容室は、既存のお客様が定期的に来店してくれるため、閑散期でも安定した売上を確保しやすいです。
新規のお客様と既存のお客様のバランスを意識することが、閑散期を乗り越えるうえで重要なポイントとなります。
閑散期に売上を落とさないための美容室の集客アイデア
閑散期だからといって売上が下がるのを黙って見ているわけにはいきません。ここからは、暇な月でも売上を落とさないための具体的な集客アイデアをご紹介します。
閑散期限定のキャンペーンで来店動機を作る

閑散期には、お客様にとって「今、美容室に行く理由」を作ることが大切です。そのための効果的な方法の一つが、期間限定のキャンペーンです。
たとえば、「1月限定で人気のトリートメントが20%オフ」「2月中のご予約でヘッドスパをプレゼント」など、閑散期だからこそのお得な特典を用意することで、「12月に行こうと思っていたけど、お得になるなら今のうちに行こうかな」とお客様の背中を押すことができます。
ただし、キャンペーンというと「値引き」をイメージする方も多いかもしれませんが、必ずしも安くする必要はありません。
季節に合わせたメニューを打ち出すだけでも効果があります。たとえば「乾燥が気になる季節にぴったりの保湿トリートメント」や「花粉シーズンの頭皮ケアメニュー」など、お客様のニーズに合った提案をすることで、値引きなしでも来店を促すことができます。
次回予約の獲得で閑散期の予約を確保する
閑散期の予約を増やすために非常に効果的なのが、「次回予約」の仕組みを作ることです。
お客様が来店された際に、帰り際に次回の予約を取っていただく。これだけのことですが、多くの美容室ではまだ実践できていないのが現状です。
次回予約を取ることで、お客様が「予約を入れる手間」を省くことができますし、他のサロンに流れることを防ぐ効果もあります。
また、美容室側としても来月の予約状況を把握できるため、経営の見通しが立てやすくなります。
次回予約をおすすめする際には、「賞美期限」という考え方を伝えるのが効果的です。
賞美期限とは、今日作ったヘアスタイルをきれいに保てる期間のことです。
「このスタイルをきれいに保つには、だいたい1か月半後くらいにメンテナンスに来ていただくのがおすすめです」とお伝えすることで、お客様も納得して予約を入れてくださいます。「次回ご予約いただいた方は、トリートメントサービス」など、次回予約に特典をつけるのも効果的な方法です。
店販(物販)に力を入れて売上を補う
技術売上が落ち込みがちな閑散期には、店販(ホームケア商品などの販売)で売上を補うという考え方もあります。
店販のアプローチとしては、いくつかの方向性が考えられます。一つ目は、閑散期だけの割引を用意する方法です。「今月だけシャンプー・トリートメントが10%オフ」「2本以上のご購入でさらにお得」など、期間限定の特典を設けることで、普段は購入しないお客様にも興味を持っていただけます。
二つ目は、季節に合った新商品を導入する方法です。
冬であれば乾燥対策のヘアオイルやスカルプケアアイテム、梅雨時期であればうねり髪を抑えるスタイリング剤など、お客様の悩みに寄り添った商品を提案することで、自然な形で購入につなげることができます。
三つ目は、高単価商品を提案する方法です。
普段よりも時間に余裕がある閑散期だからこそ、お客様とじっくりお話しする時間を取ることができます。この機会に、ワンランク上のホームケア商品をご紹介してみるのも一つの手です。
眠っている顧客の掘り起こしを行う
閑散期に取り組みたいのが、「休眠顧客」の掘り起こしです。休眠顧客とは、以前は来店していたものの、最近は来店がないお客様のことを指します。
半年以上来店のないお客様に対して、DMやLINEで「最近いかがですか?」とお声がけをしてみましょう。「しばらくご無沙汰しているお客様限定で、カット料金を特別価格に」といった特典をつければ、再来店のきっかけになります。
お客様が来店しなくなる理由はさまざまです。引っ越しや転職で物理的に通えなくなった方もいれば、単純に「なんとなく行きそびれていた」という方もいます。後者のケースであれば、お声がけ一つで戻ってきていただけることも多いです。カルテを見返して、最近来店のないお客様をリストアップし、アプローチしてみてください。
平日限定メニューやサービスを導入する
閑散期の中でも、特に平日は予約が入りにくい時間帯が多いものです。そこで、平日限定のメニューやサービスを設けることで、来店を促す方法があります。
たとえば「平日限定でヘッドスパ15分サービス」「平日11時〜14時のご予約でカット料金500円オフ」など、平日に来店するメリットを明確にすることで、時間に融通が利くお客様の来店につなげることができます。
主婦の方やシフト制のお仕事の方、リモートワークの方など、平日に来店できるお客様は意外と多いものです。そうした層にアプローチするためにも、平日ならではの特典を用意しておくとよいでしょう。
閑散期こそ取り組むべき美容室の準備と改善
閑散期は、売上を上げるための施策だけでなく、繁忙期に向けた準備を進める絶好の機会でもあります。忙しい時期にはなかなかできないことに、じっくり取り組んでいきましょう。
店内の大掃除と環境整備
繁忙期は1日の作業をこなすだけで精一杯で、店内の清掃にまで手が回らないことも多いです。閑散期のうちに、普段は行き届かない場所まで徹底的に掃除しておきましょう。
シャンプー台やお手洗いなどの水回りは、お客様の印象を大きく左右する場所です。
また、カラー剤や薬剤が並んでいる棚の整理整頓も大切です。古くなった商品を処分し、使いやすく整理しておくことで、繁忙期の作業効率もアップします。
店内の物の配置も見直してみてください。お客様が入店してから席に着くまでの動線に、不要な物が置かれていないでしょうか。観葉植物やディスプレイが多すぎて、圧迫感を与えていないでしょうか。お客様目線で店内を見渡し、快適な空間づくりを心がけましょう。
SNSやホームページの充実に時間を使う

繁忙期には「SNSを更新している暇がない」「ホームページを改善したいけど手が回らない」ということも多いですよね。閑散期こそ、こうした情報発信に力を入れるチャンスです。
2025年現在、美容室の集客においてSNS、特にInstagramの活用は欠かせないものになっています。ただし、最新のアルゴリズムの変化を理解しておくことが大切です。
かつては「ハッシュタグをたくさんつければ効果がある」と言われていましたが、現在ではInstagramの責任者自身が「ハッシュタグでリーチが劇的に伸びるわけではない」と明言しています。ハッシュタグは3〜5個程度に絞り、コンテンツそのものの質に注力する方が効果的です。
投稿頻度については、210万件以上の投稿を分析した調査によると、週3〜5回の投稿が最も効率的とされています。毎日無理に投稿するよりも、質の高い投稿を継続的に行うことが大切です。
投稿内容としては、ビフォーアフターの写真、お客様の声、施術の様子、セルフケアのアドバイス、季節のメニュー紹介などが効果的です。お客様が「このお店に行ってみたい」と思えるような、価値のある情報を発信していきましょう。
Googleビジネスプロフィールの最適化
SNSと同様に重要なのが、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の活用です。「地域名+美容室」で検索したときに、検索結果の上位に表示されることで、新規のお客様の来店につながります。
閑散期に以下の点を見直してみてください。まず、基本情報が正確に登録されているか確認しましょう。店舗名、住所、電話番号、営業時間などに誤りがあると、お客様に迷惑をかけるだけでなく、検索順位にも悪影響を及ぼします。
次に、写真を充実させましょう。店内の雰囲気がわかる写真、施術のビフォーアフター、スタッフの写真など、お客様が安心して来店できるような情報を掲載することが大切です。
また、口コミへの返信も忘れずに行いましょう。良い口コミにはお礼を、悪い口コミには誠実に対応することで、信頼感を高めることができます。
メニューの見直しと新メニューの開発
閑散期は、メニュー構成を見直す良い機会でもあります。
売れているメニューと売れていないメニューを分析し、必要に応じて整理しましょう。あまり出ないメニューを残しておくと、在庫管理の手間が増えたり、メニュー表が煩雑になったりします。
また、新しいメニューの開発にも取り組んでみてください。トレンドを取り入れたメニューや、客単価アップにつながる高付加価値メニューなど、お店の強みを活かした新メニューを考えてみましょう。
新メニューを開発したら、SNSやホームページで告知することも忘れずに。閑散期のうちにお客様に知っていただき、繁忙期に向けて準備を整えておきましょう。
スタッフの技術向上と教育
時間に余裕がある閑散期は、スタッフの技術研修や教育に充てる絶好のタイミングです。
新しいカット技術やカラーリング技術の練習、接客スキルの向上、商品知識の勉強など、繁忙期にはなかなか時間を取れないことに取り組みましょう。
また、カウンセリング力の向上も大切です。お客様の悩みをしっかりヒアリングし、適切な提案ができるスタッフが増えれば、リピート率や客単価の向上につながります。
美容室のリピート率を上げて閑散期に強いサロンを作る
閑散期の影響を最小限に抑えるためには、日頃からリピート率を高める取り組みが欠かせません。リピーターが多い美容室は、閑散期でも安定した売上を確保することができます。
リピート率の現状を把握する
まずは、自分のお店のリピート率がどのくらいなのかを把握しましょう。
一般的に、美容室の90日間での平均リピート率は、既存顧客で約70%、新規顧客で約30%程度といわれています。もしこれを大きく下回っているようであれば、改善の余地があります。
リピート率を計算する際は、「新規顧客」と「既存顧客」を分けて分析することが大切です。新規顧客のリピート率が低い場合は、集客方法やカウンセリングの見直しが必要かもしれません。既存顧客のリピート率が下がっている場合は、サービスの質や顧客対応に問題がある可能性があります。
カウンセリングの質を高める
お客様にリピートしていただくためには、満足度の高い施術を提供することが大前提です。そのために重要なのが、カウンセリングの質です。
お客様が「また来たい」と思う美容室の条件として、仕上がりの満足度は非常に重要です。しかし、お客様の理想と美容師のイメージが食い違っていると、せっかく技術力が高くても満足していただけないことがあります。
初回のカウンセリングでは、お客様の髪の悩み、なりたいイメージ、普段のライフスタイルなどを丁寧にヒアリングしましょう。写真を見せていただいたり、具体的なイメージを共有したりすることで、仕上がりのミスマッチを防ぐことができます。
また、2回目以降の来店時にも、前回の施術からの変化や気になる点をヒアリングすることが大切です。「前回のカットはいかがでしたか?」「気になるところはありませんでしたか?」と確認することで、より良い施術につなげることができます。
お客様の変化を記録し、フィードバックする
お客様の変化を写真で記録し、それをフィードバックすることは、リピート率を高めるうえで非常に効果的です。
初来店時と数か月後の写真を並べて見せることで、お客様自身が変化を実感できます。
「3か月前はこういう状態でしたが、今はこんなにきれいになりましたね」とお伝えすることで、美容室に通い続ける意味を感じていただけます。
人は自分の変化には案外気づきにくいものです。
日々少しずつ変わっていると、「あまり変わっていない」と感じてしまうこともあります。でも、過去の写真と見比べれば、確実な変化を実感できます。このフィードバックが、「これからも通い続けよう」というモチベーションにつながるのです。
アフターフォローで信頼関係を築く
施術後のアフターフォローも、リピート率を高めるポイントです。
来店から数日後に、「その後、髪の調子はいかがですか?」とLINEやメールでお声がけをすることで、お客様との信頼関係を深めることができます。また、自宅でのケア方法やスタイリングのコツをお伝えすることで、お客様に「ここまでしてくれるのか」という感動を与えることもできます。
特に新規のお客様に対しては、施術後のフォローが次回来店につながる重要なきっかけになります。初めてのお店では不安も多いものです。アフターフォローで「このお店は信頼できる」と感じていただければ、リピートにつながりやすくなります。
年間を通じた来店サイクルを提案する
閑散期に強いサロンを作るためには、お客様の来店サイクルを年間を通じて安定させることが大切です。
「いつ来るか」よりも「年間何回来店していただくか」という視点で考えてみてください。
たとえば、2か月に1回のペースで来店していただけるお客様が増えれば、年間6回の来店が見込めます。このようなお客様が増えることで、繁忙期と閑散期の差を小さくすることができます。
お客様に「次回は〇月頃がおすすめです」と具体的にお伝えし、次回予約を取っていただくことで、計画的な来店を促すことができます。「何月に来るか」を美容室側がコントロールできるようになれば、閑散期の影響を最小限に抑えることができます。
閑散期を乗り越える美容室経営者のマインドセット
最後に、閑散期を乗り越えるための心構えについてお伝えします。閑散期は確かに不安になる時期ですが、考え方次第でピンチをチャンスに変えることができます。
「暇な時期」を「準備期間」と捉える
閑散期を「売上が落ちる時期」とネガティブに捉えるのではなく、「次の繁忙期に向けた準備期間」とポジティブに捉えることが大切です。
繁忙期には忙しすぎて後回しになりがちな、店内の改善、SNSの充実、スタッフ教育など、やるべきことはたくさんあります。閑散期だからこそできることに目を向け、積極的に取り組んでいきましょう。
また、閑散期はお客様一人ひとりとじっくり向き合える時間でもあります。繁忙期には慌ただしくなりがちな接客も、閑散期であれば丁寧に行うことができます。この機会に、お客様との関係性を深めることに注力してみてください。
数字を分析して冷静に判断する
閑散期に売上が下がると焦ってしまい、「とにかく広告を出さなければ」と場当たり的な判断をしてしまうことがあります。しかし、焦って行動すると逆効果になることも少なくありません。
まずは冷静に数字を分析しましょう。本当に問題があるのは閑散期なのか、それとも別のところに原因があるのか。リピート率は下がっていないか、客単価はどうか、新規顧客の数はどうかなど、さまざまな角度からデータを見ることが大切です。
数字を分析することで、「閑散期のせい」だと思っていた問題が、実は「リピート率の低下」が原因だったとわかることもあります。原因を正しく把握できれば、適切な対策を打つことができます。
年間計画を立てて繁閑の波を平準化する
美容室経営において、閑散期と繁忙期の波は避けられないものです。しかし、年間を通じた計画を立てることで、その波を小さくすることは可能です。
1年間のカレンダーを見ながら、どの時期にどのような施策を打つのかをあらかじめ計画しておきましょう。閑散期にはキャンペーンを実施し、繁忙期には予約の取り方を工夫するなど、時期に応じた対応を準備しておくことで、慌てずに対応することができます。
また、繁忙期に無理に予約を入れすぎることを避け、お客様を閑散期に誘導する仕組みを作ることも大切です。「12月は混み合いますので、11月中のご予約がおすすめですよ」とお伝えすることで、繁忙期の負担を軽減しながら、閑散期の売上をカバーすることができます。
まとめ
美容室の閑散期は、経営者にとって不安な時期かもしれません。しかし、この記事でご紹介したように、閑散期だからこそできることはたくさんあります。
まず大切なのは、自分のお店の閑散期がいつなのかを正確に把握することです。そのうえで、キャンペーンの実施、次回予約の獲得、店販の強化、休眠顧客の掘り起こしなど、売上を落とさないための施策に取り組みましょう。
同時に、店内の環境整備、SNSやホームページの充実、スタッフ教育など、繁忙期に向けた準備を進めることも大切です。閑散期を「準備期間」と捉え、次の繁忙期でさらに成果を出すための布石を打っておきましょう。
そして、中長期的にはリピート率を高めることが、閑散期に強い美容室を作る鍵になります。カウンセリングの質を高め、お客様との信頼関係を築き、年間を通じて安定した来店サイクルを作っていくことで、繁忙期と閑散期の差を小さくしていくことができます。
閑散期は決して「耐え忍ぶ時期」ではありません。工夫次第で、お店の成長につなげることができる貴重な時間です。この記事を参考に、ぜひ明日からできることに取り組んでみてください。

