美容サロン開業に必要なもの総まとめ|ゼロから分かる完全ガイド

「いつか自分のサロンを持ちたい」「独立して美容サロンを開業したいけれど、何から始めればいいか分からない」——そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
美容サロンの開業には、資金計画から物件選び、必要な資格の取得、届け出の手続きまで、さまざまな準備が必要です。初めての開業では、何をどの順番で進めればいいのか戸惑うこともあるかもしれません。
この記事では、エステサロン・美容室・リラクゼーションサロンなど、美容サロンを開業するために必要なものを網羅的に解説します。開業資金の目安から資格・届け出、助成金・補助金の活用方法まで、「ゼロから始める方」でも分かりやすいように、実践的な内容をまとめました。
ぜひ最後まで読んで、あなたの開業準備にお役立てください。
美容サロンを開業するには?まず知っておきたい基礎知識
美容サロンと一口に言っても、提供するサービスによってさまざまな種類があります。まずは、自分がどのようなサロンを開業したいのか、方向性を明確にしましょう。
美容サロンの種類と特徴
美容サロンには、大きく分けて以下のような種類があります。
- 美容室・ヘアサロン:カット、カラー、パーマなどの施術を行う。美容師免許が必須
- エステサロン:フェイシャルケア、ボディケア、痩身、リラクゼーションなどを提供
- 脱毛サロン:ムダ毛の処理を専門に行うサロン
- ネイルサロン:ネイルアートやネイルケアを専門に行う
- まつ毛サロン:まつ毛エクステやまつ毛パーマを提供。美容師免許が必要
- リラクゼーションサロン:アロマトリートメントやボディケアで心身の癒しを提供
サロンの種類によって、必要な資格や届け出が異なります。特に美容師免許が必要な施術を行う場合は、保健所への届け出も必要になりますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
開業スタイルの選択肢
美容サロンの開業スタイルは、主に3つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況や目標に合わせて選びましょう。
【自宅サロン】
自宅の一部をサロンスペースとして活用するスタイルです。物件取得費がかからないため、初期費用を大幅に抑えられるのが最大のメリット。開業資金は20万〜30万円程度から始められるケースもあります。ただし、プライバシーの問題や集客面での課題があることも考慮しておきましょう。
【マンションサロン】
賃貸マンションの一室を借りて開業するスタイルです。自宅サロンより集客しやすく、プライバシーも確保できます。開業資金は150万〜200万円程度が目安です。ただし、事業用として利用できる物件を探す必要があり、保証金が高くなる場合もあります。
【テナントサロン】
商業施設や路面店舗などのテナントを借りて開業するスタイルです。集客力が高く、本格的なサロン経営が可能ですが、その分初期費用も高くなります。開業資金は300万〜600万円程度、場所や規模によっては1,000万円以上かかることもあります。
美容サロン開業に必要な資金はいくら?開業資金の目安と内訳

美容サロンを開業するにあたって、最も気になるのは「どのくらいお金がかかるのか」という点ではないでしょうか。開業資金は、開業スタイルや規模によって大きく異なります。
開業スタイル別の資金目安
一般的な美容サロンの開業資金は、以下のように開業スタイルによって異なります。
【自宅サロンの場合】
開業資金の目安:20万〜100万円程度
自宅の内装をそのまま活用できるため、最も費用を抑えられます。引っ越しを伴う場合は、引っ越し費用や敷金礼金で100万円程度になることもあります。
【マンションサロンの場合】
開業資金の目安:150万〜200万円程度
物件取得費(保証金、前家賃など)と最低限の内装工事費、備品購入費が主な費用になります。事業用物件は保証金が高めに設定されていることが多いため、余裕を持った資金計画が必要です。
【テナントサロンの場合】
開業資金の目安:300万〜600万円程度(規模により1,000万円以上も)
本格的な内装工事や設備投資が必要になるため、費用が高くなります。日本政策金融公庫の調査によると、美容室の開業にかかる費用の相場は1,000万円前後とされています。
開業資金の内訳を詳しく解説
美容サロンの開業資金は、主に以下のような項目で構成されます。
【物件取得費】
テナントを借りる場合、敷金・保証金、礼金、仲介手数料、前払い家賃などが発生します。保証金は家賃の6カ月分程度が相場とされており、家賃が10万円の物件であれば60万円程度を見込んでおく必要があります。
【内装・外装工事費】
開業費用の中で最も大きな割合を占めるのが内装工事費です。美容室の場合、全体の約60%(平均600万円程度)が工事費用にかかるとも言われています。エステサロンの場合は、サロンの雰囲気づくりにこだわるなら200万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
【設備・機器購入費】
シャンプー台やスタイリングチェア、エステ機器など、施術に必要な設備の購入費です。美容室の場合は70万〜100万円程度、エステサロンでも機器の種類やグレードによって数十万円から数百万円かかります。中古品やリースを活用すると費用を抑えられます。
【備品・消耗品費】
タオル、シーツ、化粧品、薬剤などの消耗品や、パソコン、レジ、電話機などの備品です。100万〜200万円程度が目安となります。
【運転資金】
開業後すぐに経営が軌道に乗るとは限りません。家賃、光熱費、人件費、材料費など、毎月の固定費を賄うための運転資金として、最低でも3カ月分、できれば半年分程度は用意しておくと安心です。目安としては100万〜200万円以上を確保しておきましょう。
【広告宣伝費】
ホームページの作成、チラシ印刷、ポータルサイトへの掲載など、集客のための費用です。開業時には特に力を入れたい部分ですので、20万〜50万円程度は予算に組み込んでおきましょう。
自己資金はどのくらい必要?資金調達の方法
開業資金のすべてを自己資金で賄える方は少数派です。日本政策金融公庫の調査によると、開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は約20〜30%程度で、残りは金融機関からの融資で賄うケースが一般的です。
資金調達の主な方法は以下の通りです。
【日本政策金融公庫の融資】
国が100%出資している政府系金融機関で、創業融資に力を入れています。条件に該当すれば、担保や保証人なしで融資を受けられる場合もあり、多くの美容サロン開業者が利用しています。審査は厳しい傾向がありますが、民間の金融機関より有利な条件で借りられることが多いです。
【地方銀行・信用金庫からの融資】
地域に根ざした金融機関からの融資も選択肢のひとつです。日頃から取引のある金融機関があれば、相談してみるとよいでしょう。
【家族・親族からの支援】
自己資金には、ご家族からの協力金を合算することも可能です。開業資金の一部を援助してもらえる場合は、融資の審査でもプラスに働くことがあります。
【クラウドファンディング】
インターネット上で不特定多数の方から資金を募る方法です。サロンのコンセプトや想いを発信し、共感してくれた支援者から資金を集めます。開業前から宣伝効果も期待できるため、集客にもつながる可能性があります。
美容サロン開業に必要な資格とは?サロンの種類別に解説
美容サロンを開業するにあたって、どのような資格が必要なのかは重要なポイントです。サロンの種類や提供するサービスによって、必要な資格が異なります。
美容室・ヘアサロンの場合
美容室を開業するためには、美容師免許が必須です。美容師免許は国家資格で、厚生労働省が指定する美容師養成施設を卒業し、国家試験に合格することで取得できます。
また、美容師を2名以上雇用する場合は、管理美容師資格を持つ人を配置する義務があります。管理美容師資格は、美容師免許を取得してから3年以上の実務経験があり、都道府県が開催する講習会を受講することで取得できます。
一人で開業する場合は管理美容師資格は不要ですが、将来的にスタッフを増やす予定があるなら、早めに取得しておくと安心です。
エステサロン・リラクゼーションサロンの場合
エステサロンやリラクゼーションサロンの開業には、特別な資格は必要ありません。美容師や理容師のような国家資格がなくても、法律上は開業が可能です。
ただし、お客様に安心して施術を受けていただくためには、民間資格を取得しておくことをおすすめします。「日本エステティック協会(AJESTHE)」や「日本エステティック業協会(AEA)」が認定する資格などは、知識と技術の証明になり、信頼獲得にもつながります。
まつ毛サロンの場合
まつ毛エクステやまつ毛パーマの施術は、「美容行為」に該当するため、美容師免許が必要です。さらに、サロンとして営業するためには「美容所登録」も必要になります。
ネイルサロンの場合
ネイルサロンの開業には、国家資格は不要です。ネイリスト関連の資格は民間資格のみで、資格がなくても開業できます。ただし、「JNECネイリスト技能検定」や「JNAジェルネイル技能検定」などの資格を持っていると、技術力の証明になり、お客様からの信頼度が上がります。
資格が必要になるケースに注意
サロンのメニューによっては、資格が必要になるケースがあります。以下の点に注意しましょう。
- マッサージを提供する場合:国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の取得が必要です。資格がない場合は「マッサージ」という表記は使えません
- 顔剃りを提供する場合:理容師免許が必要です
- まつ毛エクステ・まつ毛パーマを提供する場合:美容師免許が必要です
提供予定のメニューについて、事前に必要な資格を確認しておきましょう。
美容サロン開業に必要なものチェックリスト

美容サロンを開業するにあたって、必要なものを項目別にまとめました。開業準備の参考にしてください。
施術に必要な設備・機器
サロンの種類によって必要な設備は異なりますが、代表的なものを挙げてみます。
【美容室の場合】
- シャンプー台
- スタイリングチェア
- ミラー(鏡)
- ドライヤー・スチーマー
- パーマ用機器
- カラー剤・パーマ液などの薬剤
- はさみ、ブラシなどの美容道具
【エステサロンの場合】
- 施術用ベッド
- エステ機器(美顔器、痩身機器など)
- 化粧品・美容商材
- タオルウォーマー
- 消耗品(タオル、シーツ、ガウンなど)
店舗運営に必要な備品
- レジ・会計システム
- 予約管理システム
- パソコン・タブレット
- 電話機
- 待合スペースの椅子・ソファ
- 空調設備(エアコン)
- 照明器具
- BGM用のオーディオ機器
- 洗濯機
- 掃除用具
衛生管理に必要なもの
保健所の検査基準を満たすためにも、衛生管理に必要な設備を整えましょう。
- 消毒設備(紫外線消毒器、消毒液など)
- 手洗い場
- 毛髪箱(毛髪を捨てる専用の箱)
- 汚物箱
- 換気設備
開業時に準備しておきたい書類・ツール
- 事業計画書
- 開業届(税務署提出用)
- 各種届出書類(保健所など)
- メニュー表・料金表
- 名刺・ショップカード
- ホームページ・SNSアカウント
- チラシ・パンフレット
美容サロン開業に必要な届け出と手続きの流れ
美容サロンを開業するためには、いくつかの届け出や手続きが必要です。手続きに漏れがあると開業が遅れてしまうこともあるため、しっかり確認しておきましょう。
税務署への開業届
個人事業主として美容サロンを開業する場合は、管轄の税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出します。提出期限は開業から1カ月以内とされていますが、提出は義務ではなく、提出しなくても罰則はありません。
ただし、開業届を提出することで以下のようなメリットがあります。
- 青色申告が可能になり、最大65万円の控除が受けられる
- 事業用の銀行口座開設やクレジットカード作成がスムーズになる
- 就労証明として使える
- 小規模企業共済への加入が可能になる
開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるほか、会計ソフトの「freee開業」などを使えば無料で簡単に作成できます。
保健所への届け出(美容室・まつ毛サロンなど)
美容室やまつ毛サロンなど、美容師法に基づく施術を行うサロンは、管轄の保健所に「美容所開設届」を提出する必要があります。エステサロンやリラクゼーションサロンの場合は、基本的に保健所への届け出は不要ですが、提供するメニューによっては必要になる場合もあります。
【保健所への届け出が必要なケース】
- 美容師としてヘアカットやカラーを行う場合
- まつ毛エクステやまつ毛パーマを提供する場合
- 理容師として顔剃りを行う場合
- あん摩マッサージ指圧師として施術を行う場合
保健所への届け出の流れ
【STEP1:事前相談】
内装工事を始める前に、管轄の保健所に相談に行きましょう。店舗の構造や設備について細かい基準があるため、工事前に確認しておくと安心です。図面ができた段階で相談すると、後から改善を求められるリスクを減らせます。
【STEP2:必要書類の準備・提出】
内装工事中に、必要書類を揃えて保健所に提出します。主な必要書類は以下の通りです。
- 美容所開設届
- 施設の構造設備の概要
- 施設平面図
- 付近の見取り図
- 従業者名簿
- 美容師免許証(原本を提示)
- 管理美容師講習修了証(美容師が2名以上の場合)
- 医師の診断書(結核・伝染性皮膚疾患の有無)
- 法人の場合は登記事項証明書
提出の際に、立入検査の日時を調整します。営業開始予定日の2〜3週間前には届け出を済ませておくとよいでしょう。
【STEP3:立入検査】
保健所の職員が実際に店舗を訪れ、提出書類の通りに設備が整っているか確認します。この検査に合格しないと、営業許可が下りません。検査までには、実際に営業できる状態に店舗を整えておく必要があります。
【STEP4:確認済証の交付】
検査に合格すると、確認済証が発行されます。この確認済証が交付されてから、ようやく営業を開始できます。
消防署への届け出
店舗を構える場合は、消防署への届け出も必要になる場合があります。「防火対象物使用開始届」などを提出し、消防設備が適切に設置されているか確認を受けます。
その他の届け出・手続き
- 個人事業開始申告書:都道府県税事務所に提出。個人事業税に関する届け出
- 雇用保険・社会保険の手続き:従業員を雇う場合は、ハローワークや年金事務所への届け出が必要
- 青色申告承認申請書:青色申告をする場合は、開業から2カ月以内に税務署に提出
美容サロン開業で活用できる助成金・補助金7選

美容サロンの開業には多額の資金が必要ですが、返済不要の助成金や補助金を活用することで、費用負担を軽減できる場合があります。ここでは、美容サロン開業時に活用しやすい主な制度をご紹介します。
補助金と助成金の違い
まず、補助金と助成金の違いを押さえておきましょう。
【補助金】
主に経済産業省や中小企業庁が管轄し、事業拡大や設備投資などを目的とした制度です。申請後に審査があり、採択されなければ受給できません。給付額は比較的高額ですが、競争率も高い傾向があります。
【助成金】
主に厚生労働省が管轄し、雇用促進や職場環境の改善を目的とした制度です。要件を満たせば原則として受給でき、補助金より受給しやすい傾向があります。ただし、給付額は補助金より少ないことが多いです。
どちらも原則として返済不要ですが、後払いが基本です。補助事業を実施した後に給付されるため、事前に資金を用意しておく必要があります。
活用できる主な補助金・助成金
【1. 小規模事業者持続化補助金】
小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する補助金です。個人事業主・法人を問わず申請でき、創業1年目でも利用可能。美容室の場合、従業員5人以下の事業者が対象となります。経費として認められる範囲が広く、ホームページ作成費や広告宣伝費、店舗改装費などにも使えます。補助率は2/3で、最大50万〜250万円程度(申請枠により異なる)が受給できます。
【2. IT導入補助金】
予約管理システムや会計ソフト、POSレジなどのITツール導入にかかる費用を補助する制度です。サロンの業務効率化やデジタル化に活用できます。
【3. ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)】
革新的なサービス開発や生産性向上のための設備投資を支援する補助金です。美容サロンでも、新しい技術やサービスの開発に活用できる場合があります。補助上限額は従業員数によって異なり、750万円〜1億円程度です。
【4. キャリアアップ助成金】
非正規雇用の従業員を正社員化したり、処遇を改善したりした場合に受給できる助成金です。スタッフを雇用する予定のサロンでは、活用しやすい制度です。
【5. 両立支援等助成金】
育児や介護と仕事の両立を支援する取り組みを行った事業主に支給される助成金です。女性スタッフが多い美容サロンでは、働きやすい環境づくりに活用できます。
【6. 人材開発支援助成金】
従業員の技術力向上や資格取得のための研修・教育にかかる費用を支援する助成金です。スタッフの育成に力を入れたいサロンにおすすめです。
【7. 地方自治体独自の補助金・助成金】
都道府県や市区町村が独自に実施している創業支援の補助金・助成金もあります。例えば、東京都には「創業助成金」があり、創業から5年未満の中小企業者などが対象となっています。開業予定地域の自治体ホームページで、利用できる制度がないか調べてみましょう。
補助金・助成金を活用する際の注意点
- 申請期限を守る:補助金・助成金には申請期限が設けられています。期限を過ぎると申請できないため、余裕を持って準備しましょう
- 対象要件を確認する:補助金・助成金には細かい対象要件があります。自分が対象となるかどうか、必ず事前に確認しましょう
- 後払いであることを理解する:補助金・助成金は原則として後払いです。先に自己資金で支払い、事業完了後に給付されます
- 書類作成は丁寧に:申請書類にミスがあると、審査で落ちる可能性が高くなります。事業計画書は具体的な数値目標を盛り込み、実現可能性をアピールしましょう
補助金・助成金の情報収集方法
補助金・助成金の情報は、以下のサイトで検索できます。
- ミラサポplus:経済産業省が運営する補助金・総合支援サイト
- J-Net21:独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けポータルサイト
- 各都道府県・市区町村のホームページ
- 商工会議所・商工会:直接相談することも可能
美容サロン開業までの流れ|9つのステップ
美容サロンを開業するまでの流れを、ステップごとにまとめました。開業までには少なくとも半年程度の準備期間を見込んでおくとよいでしょう。
STEP1:コンセプト設計・事業計画書の作成
まずは、どのようなサロンを開業したいのか、コンセプトを明確にしましょう。ターゲットとなるお客様像、提供するサービス、価格帯、サロンの雰囲気などを具体的にイメージします。
コンセプトが固まったら、事業計画書を作成します。事業計画書は、融資を受ける際に必ず求められる書類ですが、自己資金だけで開業する場合でも作成しておくことをおすすめします。収支計画を数値化することで、事業として成り立つかどうかを客観的に判断できます。
事業計画書に盛り込む主な項目は以下の通りです。
- 事業の概要・コンセプト
- 開業動機・目的
- 提供するサービス内容
- ターゲット顧客
- 市場分析・競合分析
- 開業資金の内訳
- 資金調達計画
- 売上・経費・利益の見込み
STEP2:物件探し
コンセプトやターゲットに合った物件を探します。立地、広さ、家賃、周辺環境などを総合的に考慮して選びましょう。美容室の場合は、保健所の基準(作業室の床面積13平方メートル以上など)を満たす物件を選ぶ必要があります。
居抜き物件(前のテナントの内装や設備が残っている物件)を選ぶと、内装工事費を大幅に抑えられる可能性があります。ただし、希望通りのレイアウトにできない場合もあるため、メリット・デメリットを検討しましょう。
STEP3:資金調達
物件が決まったら、資金調達を進めます。融資を受ける場合は、日本政策金融公庫や地方銀行・信用金庫に事業計画書を提出し、審査を受けます。物件探しと資金調達は同時進行で進めるのが理想的です。
STEP4:内装工事
施工業者を選定し、内装工事を行います。複数の業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。工事を始める前に、必ず保健所・消防署に相談し、基準を満たしているか確認してもらうことが大切です。
STEP5:設備・備品の購入
施術に必要な機器や備品を購入します。新品にこだわらず、中古品やリースを活用すると費用を抑えられます。開業後に必要なものが分かってから追加購入することもできるので、最初は必要最低限のものから揃えるのも一つの方法です。
STEP6:スタッフ採用(該当する場合)
スタッフを雇う場合は、採用活動を行います。サロンのコンセプトに合った人材を見極め、技術面だけでなくコミュニケーション能力も重視しましょう。
STEP7:広告宣伝・集客準備
ホームページやSNSアカウントの作成、チラシ配布、予約サイトへの登録など、集客のための準備を進めます。オープン前から情報発信を始めておくと、オープン時の集客につながります。
STEP8:各種届け出・手続き
税務署への開業届、保健所への開設届(該当する場合)、消防署への届け出など、必要な手続きを行います。
STEP9:開業
すべての準備が整ったら、いよいよオープンです。開業後も、お客様の声を聞きながらサービスを改善し続けることが、長く愛されるサロンになる秘訣です。
美容サロン開業を成功させるためのポイント
美容サロンの競争は年々激しくなっています。開業を成功させるために、押さえておきたいポイントをご紹介します。
明確なコンセプトを持つ
他店との差別化を図るためには、明確なコンセプトが重要です。「誰に」「何を」「どのように」提供するサロンなのかを明確にし、ブレずに貫きましょう。コンセプトが曖昧だと、ターゲット顧客に響くメッセージを発信できず、集客に苦労することになります。
無理のない資金計画を立てる
開業資金はもちろん、開業後の運転資金も十分に確保しておくことが大切です。日本政策金融公庫の調査によると、美容室が軌道に乗るまでに1〜2年かかるケースが多く、開業後1年以内に軌道に乗ったという回答は約3割にとどまっています。少なくとも半年分の運転資金を確保し、余裕を持った資金計画を立てましょう。
集客方法を複数持つ
開業後の集客は、サロン経営の要です。ホームページ、SNS(Instagram、LINEなど)、予約サイト、チラシ配布、口コミなど、複数の集客チャネルを持ちましょう。特にSNSは、お金をかけずに情報発信できるため、開業前から積極的に活用することをおすすめします。
リピーターを大切にする
新規顧客の獲得だけでなく、リピーターを増やすことが安定経営のカギです。施術の質はもちろん、接客やアフターフォロー、店舗の雰囲気づくりなど、お客様が「また来たい」と思えるサロンを目指しましょう。
経営の基礎知識を身につける
施術の技術だけでなく、経営者としての知識も身につけましょう。売上管理、顧客管理、税務、マーケティングなど、学ぶべきことは多岐にわたります。美容サロン経営に関する本やセミナーで学んだり、先輩経営者に話を聞いたりすることで、知識を深めていきましょう。
まとめ|美容サロン開業を成功させるために
美容サロンの開業には、資金計画、物件選び、資格取得、届け出、集客準備など、多くの準備が必要です。しかし、一つひとつ着実に進めていけば、夢の実現は決して難しいことではありません。
この記事でご紹介した内容をまとめると、以下のようになります。
- 開業資金は、自宅サロンなら20万〜100万円、テナントサロンなら300万〜1,000万円以上が目安
- 美容室・まつ毛サロンは美容師免許が必須、エステ・ネイルは資格不要だが民間資格の取得がおすすめ
- 税務署への開業届は任意だが、青色申告のメリットがあるため提出がおすすめ
- 美容室・まつ毛サロンは保健所への届け出が必要
- 小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など、活用できる助成金・補助金がある
- 開業準備には少なくとも半年程度の期間を見込む
- 明確なコンセプトと無理のない資金計画が成功のカギ
美容サロン開業という夢に向かって、一歩ずつ準備を進めていきましょう。この記事が、あなたの開業準備のお役に立てれば幸いです。
開業に関する疑問や不安がある方は、商工会議所や創業支援センターなどの無料相談窓口を活用するのもおすすめです。専門家のアドバイスを受けながら、安心して開業準備を進めてください。
【参考情報】
- 日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」
- 厚生労働省「令和3年度衛生行政報告」
- 各自治体の保健所ホームページ
- 経済産業省「ミラサポplus」

