美容室で儲かるメニューって?利益が上がるメニューの作り方と販売方法

美容室を経営していると「毎日忙しく働いているのに、なぜか手元にお金が残らない」「もっと利益率の高いメニューを作りたい」と感じることはありませんか?
実は、美容室の営業利益率の平均は7〜10%程度と言われており、売上100万円に対して手元に残る利益は7〜10万円ほどです。
この数字を見ると「もっと効率よく稼ぎたい」と思うのは当然ですよね。
この記事では、美容室経営者の方に向けて、利益率の高い「儲かるメニュー」の作り方と、そのメニューを効果的に販売する方法を具体的にご紹介します。メニュー構成を見直すだけで、同じ労働時間でも利益を大きく伸ばすことができますので、ぜひ参考にしてくださいね。
美容室の利益率の基本を理解しよう
まずは、利益率の基本的な考え方を押さえておきましょう。
「儲かるメニュー」を作るには、利益の仕組みを理解することが第一歩です。
粗利益率と営業利益率の違い
美容室の利益率には、主に「粗利益率」と「営業利益率」の2種類があります。
粗利益率(売上総利益率)
粗利益率は、売上から材料費(カラー剤、パーマ液、シャンプーなど)を差し引いた割合です。美容室の場合、粗利益率は80〜90%と比較的高いのが特徴です。
計算式:粗利益率 = (売上 − 材料費) ÷ 売上 × 100
例えば、売上100万円で材料費が10万円の場合、粗利益は90万円となり、粗利益率は90%です。
営業利益率
営業利益率は、売上から材料費、人件費、家賃、光熱費、広告宣伝費などすべての経費を差し引いた利益の割合です。美容室の営業利益率の平均は7〜10%程度と言われています。
計算式:営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上 × 100
例えば、売上100万円で経費が93万円の場合、営業利益は7万円となり、営業利益率は7%です。
一人美容室と複数人経営の利益率の違い
美容室の規模によって、目指すべき利益率は大きく異なります。
一人美容室の場合
一人美容室の場合、人件費がかからないため、利益率は45〜55%と非常に高くなります。
売上100万円であれば、45〜55万円が手元に残る計算です。ただし、一人で対応できる客数には限界があるため、売上の上限も決まってきます。
複数人経営の場合
スタッフを雇用している美容室の場合、人件費が売上の30〜40%程度かかるため、営業利益率は7〜10%程度が現実的な目標となります。
美容室で儲かるメニューの特徴
それでは、具体的にどんなメニューが「儲かるメニュー」なのでしょうか。利益率の高いメニューには、いくつかの共通点があります。
1. 材料費率が低いメニュー

材料費率が低いメニューほど、粗利益が高くなります。美容室の平均的な材料費率は10%程度ですが、メニューによってこの割合は大きく異なります。
材料費率が低いメニューの例
- カット(材料費はほぼゼロ)
- ヘッドスパ(シャンプー代のみ)
- ブロー・セット(スタイリング剤のみ)
- トリートメント(商材によるが比較的低い)
材料費率が高いメニューの例
- カラー(カラー剤、過酸化水素など)
- パーマ(パーマ液、中和剤など)
- 縮毛矯正(薬剤費が高い)
ただし、材料費率が高くても客単価を上げられるメニューは十分に利益が出ます。
重要なのは「材料費と販売価格のバランス」です。
2. 施術時間が短いメニュー
時間単価の高いメニューも、儲かるメニューの条件です。特に一人美容室の場合、一日に対応できる客数には限りがあるため、短時間で高単価を実現できるメニューが理想的です。
時間単価が高いメニューの例
- ヘッドスパ(20〜30分で3,000〜5,000円)
- トリートメント(30分で3,000〜8,000円)
- 眉カット(10分で1,000〜2,000円)
- 前髪カット(10分で500〜1,000円)
例えば、カットに60分かけて5,000円を売り上げるのと、トリートメントを30分で5,000円売り上げるのでは、後者の方が時間効率が良いと言えます。
3. リピートされやすいメニュー
定期的に来店してもらえるメニューも、安定した利益につながります。一度の売上は少なくても、継続的に利用してもらえれば、長期的な利益が見込めます。
リピートされやすいメニューの例
- 白髪染め(1〜2ヶ月に1回)
- メンズカット(1〜2ヶ月に1回)
- ヘッドスパ(月1回のリラクゼーション)
- 前髪カット(月1回のメンテナンス)
4. 店販商品
店販商品は、施術時間を消費せずに売上を立てられる非常に効率の良い収益源です。例えば、カットで5,000円を売り上げるには60分かかりますが、5,000円のトリートメントを販売するには会話とお会計時の5分程度で済みます。
店販で人気の商品
- シャンプー・トリートメント
- ヘアオイル・ヘアミルク
- スタイリング剤(ワックス、ムース、スプレー)
- ヘアケアデバイス(ドライヤー、ヘアアイロンなど)
店販の利益率は30〜50%程度が一般的で、施術メニューと併せて提案することで売上と利益を大きく伸ばせます。
儲かるメニューの作り方
それでは、実際に利益率の高いメニューをどのように作れば良いのでしょうか。具体的なステップをご紹介します。
ステップ1. 現在のメニューの利益率を分析する
まずは、現在提供しているメニューの利益率を正確に把握しましょう。
分析すべき項目
- 各メニューの材料費
- 施術にかかる時間
- 販売価格
- 月間の注文数
この分析を行うことで、「どのメニューが利益に貢献しているか」「どのメニューが足を引っ張っているか」が明確になります。
ステップ2. 客単価を上げるメニュー構成を考える
客単価を上げるには、単品メニューだけでなく、セットメニューやオプションメニューを充実させることが効果的です。
セットメニューの例
- カット + カラー + トリートメント:通常価格より10%オフ
- パーマ + カット + ヘッドスパ:セット価格でお得に
- 縮毛矯正 + トリートメント:セットで提供
オプションメニューの例
- 炭酸スパ追加:+1,000円
- プレミアムトリートメント追加:+3,000円
- ヘッドマッサージ追加:+1,500円
お客様にとって「お得感」があり、美容室にとっても利益が出る価格設定を心がけましょう。
ステップ3. 高単価メニューを開発する
高単価メニューは、客単価を大きく引き上げる効果があります。ただし、高単価である理由を明確に伝えることが重要です。
高単価メニューの開発ポイント
- 特別な薬剤や技術を使用する
- 施術時間を長めに設定し、丁寧なカウンセリングを含める
- 仕上がりの違いを明確に説明できるようにする
- ビフォーアフター写真で効果を見せる
高単価メニューの例
- 髪質改善トリートメント:8,000〜15,000円
- プレミアムヘッドスパ(60分):6,000〜10,000円
- デザインカラー:15,000〜30,000円
- 縮毛矯正+トリートメント:20,000〜40,000円
ステップ4. 季節限定メニューやキャンペーンメニューを作る

季節やイベントに合わせた限定メニューは、お客様の興味を引きやすく、新規顧客の獲得やリピーターの再来店につながります。
季節限定メニューの例
- 春:新生活応援カラー
- 夏:紫外線ダメージケアトリートメント
- 秋:髪質改善集中ケア
- 冬:乾燥対策ヘッドスパ
限定メニューには「今しか受けられない」という希少価値があるため、通常よりやや高めの価格設定でも受け入れられやすくなります。
ステップ5. アシスタントでも提供できるメニューを作る
スタッフを雇用している美容室の場合、アシスタントでも提供できるメニューを増やすことで、店舗全体の稼働率が上がります。
アシスタントが担当できるメニューの例
- シャンプー
- ヘッドスパ
- トリートメント塗布
- 炭酸スパ
- 眉カット
スタイリストは高単価なカットやカラーに集中し、アシスタントはヘッドスパやトリートメントを担当する、といった役割分担をすることで、店舗全体の売上と利益を最大化できます。
儲かるメニューを効果的に販売する方法
良いメニューを作っても、お客様に選ばれなければ意味がありません。ここでは、利益率の高いメニューを効果的に販売する方法をご紹介します。
1. カウンセリングで悩みをヒアリングする
お客様の悩みや要望を丁寧にヒアリングすることで、自然な流れで高単価メニューを提案できます。
効果的なカウンセリングのポイント
- 「今日はどんな仕上がりをイメージされていますか?」と具体的に聞く
- 「最近髪の悩みはありますか?」と悩みを引き出す
- 「こういったトリートメントを追加すると、より理想の仕上がりに近づけますよ」と提案する
- 価格を伝える際は「今日だけ〇〇円でご案内できます」など特別感を出す
押し売りにならないよう、あくまでお客様の悩みを解決するための提案として伝えることが大切です。
2. ビフォーアフター写真で効果を見せる
高単価メニューの効果を視覚的に見せることで、お客様の購買意欲を高められます。
ビフォーアフター写真の活用方法
- 店内にビフォーアフター写真を掲示する
- InstagramやLINEで事例を紹介する
- カウンセリング時にタブレットで見せる
- 施術前にお客様自身の髪の状態を写真で確認してもらう
「こんなに変わるんだ!」という実感があれば、高単価メニューでも納得して購入してもらえます。
3. 施術中に効果を体感してもらう
施術中に「今、こういった処理をしています」「手触りが変わってきましたよ」と声をかけることで、メニューの価値を実感してもらえます。
施術中の声かけ例
- 「今、髪の内部に栄養を浸透させていますね。いつもと違う手触りを感じませんか?」
- 「このトリートメント、実は〇〇という成分が入っていて、髪質改善にとても効果的なんです」
- 「施術前と比べて、髪のツヤが全然違いますよね」
4. 次回予約時にメニューを提案する
お会計の際や次回予約を取る際に、「次回はこんなメニューもおすすめですよ」と提案することで、リピート率と客単価を同時に上げられます。
次回予約時の提案例
- 「次回はカラーの色持ちを良くするトリートメントを試してみませんか?」
- 「2ヶ月後にまたカラーされるなら、その前にヘッドスパでリフレッシュするのもおすすめです」
- 「季節の変わり目は髪が傷みやすいので、集中ケアメニューを用意しています」
5. メニュー表のデザインを工夫する
メニュー表の見せ方一つで、お客様の選ぶメニューが変わります。
効果的なメニュー表の作り方
- おすすめメニューを目立つ位置に配置する
- 「人気No.1」「当店イチオシ」などのPOPをつける
- 高単価メニューと通常メニューを並べて比較しやすくする
- ビフォーアフター写真を載せる
- メニューの効果を具体的に説明する(抽象的な表現は避ける)
6. 店販商品を自然に提案する
店販商品は、施術中の会話の中で自然に提案するのがポイントです。
店販商品の提案タイミング
- シャンプー中:「このシャンプー、実は店頭でも販売しているんです。ご自宅でも使っていただくと、今日の仕上がりが長持ちしますよ」
- トリートメント中:「このトリートメント、週2回ご自宅で使っていただくと効果が持続します」
- スタイリング中:「このワックス、使いやすくておすすめです。少量でしっかりセットできますよ」
お会計時に「いかがですか?」と聞くだけでなく、施術中に自然な流れで紹介することで、購入率が大きく上がります。
7. SNSで高単価メニューの魅力を発信する
InstagramやLINE公式アカウントで、高単価メニューの効果やお客様の声を発信しましょう。
SNS投稿のアイデア
- ビフォーアフター写真を投稿する
- 「髪質改善トリートメントでこんなに変わりました!」と効果を強調
- お客様の感想を紹介する(許可を得た上で)
- 期間限定キャンペーンを告知する
- 施術過程を動画で見せる
店販商品で利益を上げる方法
店販商品は、施術時間を使わずに利益を上げられる非常に効率の良い収益源です。ここでは、店販売上を伸ばすための具体的な方法をご紹介します。
1. 施術で使用する商品を店販する
お客様が施術中に実際に使用した商品は、効果を体感しているため購入されやすくなります。
施術中の声かけ例
- 「今使っているシャンプー、髪に優しい成分で作られているんです」
- 「このトリートメント、ご自宅でも使っていただけます」
- 「仕上げに使ったオイル、少量でツヤが出るので人気なんです」
2. サンプルを配布する
いきなり購入してもらうのはハードルが高いため、まずはサンプルを配布して試してもらいましょう。
サンプル配布のポイント
- 初回来店のお客様に配布する
- 高単価メニューを利用されたお客様に特典として渡す
- 「次回来店時に感想を聞かせてください」と伝える
3. 店販商品を目立つ場所に陳列する
店販商品は、お客様の目に留まりやすい場所に配置することが重要です。
効果的な陳列場所
- 受付カウンターの近く
- 待合スペースの目の前
- セット面の鏡の前
商品にPOPをつけて「おすすめポイント」「使い方」「効果」を分かりやすく説明しましょう。
4. ポイントカードの特典として提供する
ポイントカードが満タンになったら、店販商品をプレゼントする仕組みも効果的です。一度使ってもらえれば、次回から購入してもらえる可能性が高まります。
5. オリジナル商品(OEM商品)を開発する
一人美容室や小規模サロンでも、OEM商品を開発することで差別化とブランディングが可能です。
OEM商品のメリット
- 他店では買えない独自性がある
- ネット通販での価格競争に巻き込まれない
- お客様の悩みに特化した商品を作れる
- 利益率を高く設定できる
例えば、30〜50代男性向けの育毛シャンプーや、髪質改善に特化したトリートメントなど、ターゲットを絞った商品を開発することで、リピート購入につながります。
利益率を下げないための注意点
せっかく利益率の高いメニューを作っても、運営の仕方によっては利益が減ってしまうことがあります。ここでは、利益率を維持するための注意点をご紹介します。
1. 過度な割引は避ける
新規顧客獲得のためのクーポンや割引キャンペーンは効果的ですが、やりすぎると利益率が下がります。
割引を行う際のポイント
- 初回限定に絞る
- 割引率は20〜30%程度に抑える
- 「〇〇円オフ」ではなく「〇〇が無料」など、価値を下げない見せ方をする
- 次回予約を条件にする
2. 材料費を見直す
定期的に仕入れ先や商品を見直し、コストを削減できないか検討しましょう。
材料費削減のポイント
- 仕入れ先を複数比較する
- まとめ買いで割引を交渉する
- 使用量を見直し、無駄を減らす
- 質を落とさない範囲でコスパの良い商品に切り替える
3. 施術時間を効率化する
施術時間が長すぎると、一日に対応できる客数が減ってしまいます。
施術時間の効率化方法
- 施術の流れをマニュアル化する
- 道具の配置を見直し、動線を短くする
- 予約時に施術内容を確認し、事前準備をしておく
- アシスタントに任せられる作業は任せる
4. 予約管理を徹底する
キャンセルや無断キャンセルが多いと、機会損失が発生します。
キャンセル対策
- 予約前日にリマインドメッセージを送る
- オンライン予約システムを導入する
- キャンセルポリシーを明確にする
- 次回予約を促す
まとめ:メニュー構成を見直して利益を最大化しよう

美容室の利益を上げるには、ただ売上を伸ばすだけでなく、利益率の高いメニューを作り、効果的に販売することが重要です。
この記事のポイントをおさらいしましょう
- 美容室の営業利益率は平均7〜10%、一人美容室は45〜55%
- 儲かるメニューの特徴は「材料費率が低い」「施術時間が短い」「リピートされやすい」
- 客単価を上げるにはセットメニューやオプションメニューを充実させる
- 高単価メニューは効果を明確に伝え、ビフォーアフターで見せる
- 店販商品は施術中に自然に提案し、サンプル配布で試してもらう
- 過度な割引は避け、材料費や施術時間を見直して利益率を維持する
まずは現在のメニューの利益率を分析し、どのメニューが利益に貢献しているかを把握することから始めましょう。そして、利益率の高いメニューを増やし、効果的に提案することで、同じ労働時間でもより多くの利益を手元に残せるようになります。メニュー構成を見直すだけで、美容室経営は大きく変わります。ぜひ今日から実践してみてくださいね。

