エステのカウンセリングの前に見直すべきポイント | リピート率を上げる考え方と注意点

エステサロンを経営されているオーナー様、そして現場で日々お客様と向き合っているエステティシャンの皆様へ。
カウンセリングについて、こんなお悩みはありませんか?
お客様の悩みをしっかり聞いて施術しているつもりなのに、次回予約につながらない…
技術には自信があるのに、なぜか回数券やコースが売れない…カウンセリングが悪いの?
もし一つでも当てはまるなら、この記事がお役に立てるかもしれません。
実は、カウンセリングから満足度をあげ、リピート率をあげるために、カウンセリングの技術そのものではなく、もっと根本的なところにある原因を把握すべきなんです。
それが「商品設計」と「お客様のゴール設定」の問題です。
この記事では、カウンセリングを改善する前に、まず見直すべき重要なポイントを、マーケティングの視点からお伝えします。
明日からのカウンセリングが変わるような、具体的なヒントが見つかるはずです。
なぜエステのカウンセリングを改善してもリピート率が上がらないのか

「エステティシャン向けのカウンセリングを学んだのに、効果が感じられない…」 こんな声を、現場でよくお聞きします。
決してあなたの努力が足りないわけではありません。
実は、カウンセリングの技術を磨く前に、もっと根本的に見直すべきポイントがあるんです。
カウンセリングのコツを学んでも売上が変わらない理由
カウンセリングのコツやテクニックについて学ぶ機会は、今とても増えていますよね。
傾聴の方法、共感の示し方、質問の仕方…。どれも確かに大切なスキルです。
ただ、ここで一度立ち止まって考えてみていただきたいことがあります。
お客様の話をしっかり聞いて、共感して、悩みを引き出して…それでも「また考えます」と言われてしまう。
このような経験、ありませんか?
実はこれ、カウンセリングの技術の問題ではなく、その前の段階で何かがズレている可能性が高いんです。
カウンセリングというのは、例えるなら「料理を美味しく見せる盛り付け」のようなもの。
どんなに盛り付けが素晴らしくても、料理そのもの(商品設計)が相手の好みと合っていなければ、食べてもらえないですよね。
技術志向の商品定義が招く失客の原因
多くのエステティシャンの方が陥りがちなのが、「技術志向」の説明になってしまうパターンです。
例えば、こんな説明をしていませんか?
「当店の施術は、深層筋までアプローチする特別な手技で、血流を改善し、筋膜の癒着を解除することで根本的な改善を図ります」
一見、専門的で説得力がありそうに聞こえますよね。でも、これは私たち側の視点での説明なんです。
お客様からすると、こう思っているかもしれません。
「で、結局私の肩こりはどうなるの?」 「筋膜の癒着って言われても、よくわからない…」
もちろん、解剖学や皮膚学の知識をしっかり学んで、技術を磨いてこられた皆様だからこそ、つい専門用語を使ってしまう気持ちはとてもよくわかります。
ただ、お客様が本当に知りたいのは「その施術を受けたら、私の生活がどう変わるのか」という点なんですね。
お客様の悩みと提供する解決策のズレを解消する
ここで、具体的な例を見てみましょう。
慢性的な肩こりに悩む30代後半の女性がいたとします。その方は朝起きた時に肩が重くて、仕事に集中できないぐらい辛い状態です。
この方が本当に求めているのは何でしょうか?
「深層筋へのアプローチ」ではなく、 「朝すっきり起きられて、仕事のパフォーマンスが上がること」ですよね。
つまり、同じ施術を提供するにしても、お客様にとっての価値という視点で説明できているかどうかが、リピートに大きく影響するんです。
このズレに気づいていないまま、どんなにカウンセリングの技術を磨いても、残念ながらお客様の心には響きにくいかもしれません。
エステのカウンセリングの流れと各段階でのポイント
お客様との信頼関係を築くためには、カウンセリングの基本的な流れを押さえておくことが大切です。
ここでは、初回カウンセリング・施術中・アフターカウンセリングの3つの段階に分けて、それぞれのポイントをお伝えします。
初回カウンセリングで信頼関係を築くヒアリング術
初回のカウンセリングは、お客様との最初の接点。ここでの印象が、その後の関係性を大きく左右します。
まずはリラックスできる雰囲気づくりから
初めてサロンを訪れるお客様の多くは、緊張されています。
「どんな施術をされるんだろう」 「高額なコースを勧められたらどうしよう」 「自分の悩みを理解してもらえるかな」
こんな不安を抱えながら来店されているんですね。
だからこそ、まずは笑顔で丁寧な自己紹介をして、温かい雰囲気を作ることが大切です。
カウンセリングシートに記入していただく際も、「ゆっくりで大丈夫ですよ」と声をかけるだけで、お客様の緊張がほぐれることがあります。
カウンセリングシートで把握すべき本質的な情報
カウンセリングシートでは、個人情報や健康状態などの基本情報はもちろんですが、それ以上に大切なのが「お客様の背景」を知ることです。
- なぜ今日、このタイミングで来店されたのか
- その悩みがあることで、日常生活にどんな支障があるのか
- 過去にどんな美容経験があるのか
こうした情報から、お客様が抱えている本当の課題が見えてきます。
同意書や個人情報の取り扱いについても、最初にしっかり説明しておくことで、お客様は安心して施術を受けていただけます。
施術中の質問で本音を引き出すコツ
施術中のコミュニケーションも、実はとても大切な時間です。
聞く技術(傾聴力)を活かしたヒアリング
施術中は、お客様がリラックスしている状態。この時にこそ、本音が出やすいんですね。
ただし、ここで注意したいのが「聞きすぎない」ことです。お客様の中には、施術中は静かに過ごしたい方もいらっしゃいます。
「お話ししながらの方がお好きですか?それとも、お休みされたいですか?」
こんな風に、最初に確認しておくと良いかもしれません。
傾聴のポイントは、お客様の言葉をさえぎらず、最後まで聞くこと。
そして、相槌を打ちながら「そうなんですね」「それは大変でしたね」と共感を示すことです。
体の状態を伝えながら信頼を深める話し方
施術をしながら、「ここの部分、少し張りがありますね」「この辺りが特にお疲れのようですね」と、お客様自身が気づいていなかった体の状態を伝えることも、信頼を築く大切なポイントです。
ただし、ここでも専門用語ばかりを使うのではなく、お客様がイメージしやすい言葉で伝えることを心がけましょう。
アフターカウンセリングで次回予約とクロージングにつなげる方法
施術後のカウンセリングは、次回予約やクロージングにつなげる最も重要なタイミングです。
ビフォーアフターで変化を実感してもらう
まずは、今日の施術でお客様がどんな変化を感じられたか、丁寧に確認します。
「いかがでしたか?」という漠然とした質問ではなく、 「肩の動かしやすさは、いかがですか?」 「施術前と比べて、体が軽く感じられますか?」
このように、具体的な体感について聞くことで、お客様自身も変化に気づきやすくなります。
可能であれば、施術前の写真と比較したり、可動域の違いを確認したりすることで、ビフォーアフターがより明確になります。
次回予約を自然に促す提案の流れ
次回予約につなげるには、「今日の状態を維持するために」という視点で提案することが大切です。
「今日、とても良い状態になりましたが、1週間ほどすると少し元に戻ってしまう可能性があります。良い状態を定着させるために、1週間後にもう一度お体を見せていただけますか?」
このように、お客様の利益を考えた提案であることを伝えましょう。
リピート率と顧客満足度を高めるカウンセリングの3要素
ここからは、リピート率と顧客満足度を高めるために本当に大切な3つの要素について、詳しくお伝えしていきます。
この3つの要素が整っていないと、どんなにカウンセリングのテクニックを磨いても、リピートにはつながりにくいかもしれません。
要素①:お客様の目的とゴール設定を明確化する

リピート率を上げる上で最も大切なのが、お客様のゴールを明確にすることです。
悩みの原因を特定する質問術
まずは、お客様の悩みがどこから来ているのか、その原因を特定することから始めます。
具体的には、こんな質問をしてみるのがおすすめです。
「その悩みがあることで、どんな時に特に困っていらっしゃいますか?」
「その症状は、いつ頃から気になり始めましたか?」
「もしその悩みがなくなったら、どんなことをしてみたいですか?」
こうした質問を通じて、お客様自身も気づいていなかった「本当の悩みの原因」が見えてくることがあります。
マイナスからゼロへ導くゴール設定
お客様の悩みには、大きく分けて2つのパターンがあります。
一つ目が「マイナスからゼロへ導く」パターンです。
例えば、慢性的な肩こりで夜も眠れない、仕事に支障が出ている、といった状態。
これは、日常生活を普通に送ることさえ難しい「マイナス」の状態ですよね。
このような場合、お客様のゴールは「普通に生活できる状態に戻ること」、つまり「ゼロ地点に戻ること」になります。
このタイプのお客様は、悩みの深刻度が高いため、比較的リピートにつながりやすい傾向があります。
ただし、そのぶん「本当に良くなるのか」という不安も強いため、丁寧なゴール設定と説明が必要です。
ゼロからプラスへ導くゴール設定
二つ目が「ゼロからプラスへ導く」パターンです。
例えば、特に生活に支障はないけれど、もっとキレイになりたい、自分に自信を持ちたい、といった願望。
これは、今の状態から「より良い状態」を目指す、つまり「ゼロからプラスへ」のパターンです。
フェイシャルエステや美容目的の施術の多くは、このパターンに当てはまります。
このタイプのお客様の場合、「必要性」よりも「欲しい気持ち」が重要になってきます。
そのため、お客様が本当に欲しいと思える価値を提示できるかどうかが、リピートの鍵を握ります。
要素②:現状からゴールまでのプロセス設計と提案
お客様のゴールが明確になったら、次に大切なのが「そこに至るまでのプロセス」を示すことです。
階段設計によるステップの可視化
ゴールまでの道のりを、階段のようにステップで示すことが重要です。
例えば、慢性的な肩こりで悩む方のゴールが「朝すっきり起きられて、仕事に集中できる状態」だとしましょう。
そこに至るまでの階段を、こんな風に設計します。
1段目(1〜2回目):施術で筋肉の緊張がほぐれ、可動域が広がる
2段目(3〜4回目):楽な状態が少しずつ長持ちするようになる
3段目(5〜7回目):朝の重だるさが軽減され、日中の痛みが気にならない時間が増える
4段目(8〜10回目):朝すっきり起きられ、仕事に集中できる状態が安定する
このように、お客様が「次の施術でどんな変化が期待できるのか」を具体的にイメージできるようにすることが大切です。
お客様の体感ベースで説明する重要性
ここで注意したいのが、お客様が実際に感じられる変化として伝えることです。
よくある間違いが、こんな説明です。
「2回目で筋膜の癒着が改善し、血流が良くなります」
お客様からすると「で、それって私にとってどういうこと?」となってしまいます。
そうではなく、
「2回目の施術後は、1回目よりも肩が軽く感じられると思います。施術後の楽な状態が、前回よりも2〜3日長く続くようになりますよ」
このように、お客様が実際に体感できることとして伝えましょう。
その上で、「それは、筋膜の癒着が改善して血流が良くなっているからなんです」と根拠を添えると、納得感が生まれます。
来店回数と頻度の根拠を示す方法
「10回通ってください」と言われても、お客様は「なぜ10回なの?」と疑問に思います。
大切なのは、その回数や頻度にお客様にとっての根拠を示すことです。
例えば、
「最初の1ヶ月は週1回のペースで来ていただくことをおすすめしています。というのも、慢性的な状態の場合、最初は体が元の状態に戻ろうとする力が強いんですね。週1回のペースで施術を重ねることで、体が『この楽な状態が普通なんだ』と覚えてくれるんです。
2ヶ月目からは2週間に1回のペースにして、体が良い状態を維持できるか様子を見ていきます。
多くの方が、3ヶ月で合計8〜10回の施術で、朝の辛さが気にならなくなったとおっしゃっています」
このように、回数や頻度にお客様視点での理由があると、納得して通い続けていただきやすくなります。
要素③:契約につながる計画の提示と商品設計
最後の要素が、お客様に「浪費」ではなく「投資」として捉えていただくことです。
浪費ではなく投資になる商品説明
「浪費」と「投資」の違い、わかりますか?
浪費は、使った後に何も残らないもの。 投資は、将来の自分のためになるもの。
お客様にとって、エステへの支出が「投資」と感じられるかどうかが、契約とリピートを左右します。
例えば、こんな説明はどうでしょうか。
「3ヶ月後、朝すっきり起きられて仕事に集中できる毎日を手に入れるための投資として、週1回の施術時間を確保してみませんか。この3ヶ月で体が変わると、その後はメンテナンスだけで良い状態を保てるようになりますよ」
このように、「未来の自分への投資」という視点で伝えることで、お客様の意識が変わってきます。
松竹梅の正しい設定方法
回数券やコース設計で、よく「松竹梅」の3つを用意することが推奨されますよね。ただ、ここで大きな落とし穴があります。
多くのサロンが間違えているのが、お客様のゴールと関係のない松竹梅を作ってしまうことです。
例えば、お客様のゴールに到達するのに8回必要だとカウンセリングで伝えたのに、用意されているコースが「30回コース」「15回コース」「5回コース」だったら、お客様は混乱してしまいます。
「8回って言ったのに、なんで30回のコースを勧められるの?」
この違和感が、「売り込まれている」という感覚につながってしまうんですね。
正しい松竹梅の設定は、お客様のゴールに沿ったものであることが大前提です。
例えば、8回が必要なら、
- 梅:単発×8回
- 竹:8回コース(少し割引)
- 松:8回コース + ホームケア商品セット(さらにお得)
このように、「8回通う」という基本は同じで、その中で選択肢を提示する形が理想的です。
コース設計とカウンセリング内容の整合性
お客様がリピートしてくださるかどうかは、カウンセリングで伝えた内容と、提案するコースが一致しているかにかかっています。
カウンセリングで「週1回、3ヶ月で良くなりますよ」と伝えたなら、そのペースで通えるコースを提案する。
カウンセリングで「まずは5回、様子を見ましょう」と伝えたなら、5回のコースを提案する。
この一貫性が、お客様の信頼を得て売上につなげるための最も大切なポイントです。
エステのカウンセリングで陥りがちな注意点

ここまで、リピート率を上げるための要素についてお伝えしてきました。次に、カウンセリングで陥りがちな注意点について見ていきましょう。
技術説明だけになっていないかチェックする
カウンセリングで最も多い失敗パターンが、「技術の説明」だけになってしまうことです。
「当店では○○という最新機器を使用していて…」 「この手技は○○という特別な資格を持った者だけができる…」 「筋膜にアプローチして、深層部の…」
こうした説明は、確かに専門性をアピールできます。ただ、お客様が本当に聞きたいのは「それで私の悩みはどうなるの?」という点です。
技術の説明をするときは、必ず「それがお客様にとってどんな価値があるのか」とセットで伝えるよう心がけましょう。
押し売りと提案の境界線を理解する
「押し売りと思われたくない」という気持ちから、逆に何も提案できなくなってしまうケースもあります。
ここで大切なのは、押し売りと提案の違いを理解することです。
押し売りとは:お店側の都合で、お客様に必要のないものを勧めること
提案とは:お客様のゴールを実現するために、最適な方法を示すこと
つまり、お客様のゴールがしっかり設定できていて、そこに至るための方法として回数券やコースを提案するなら、それは決して押し売りではありません。
むしろ、お客様のゴール達成をサポートするための、プロとしての提案なんですね。
自信を持って、お客様にとって最善の方法を提案してください。
ただし、最終的な選択はお客様に委ねる。このバランスが大切です。
カウンセリングシートの活用ミスを避ける
カウンセリングシートは、お客様の情報を記録するだけの道具ではありません。
お客様の本音を引き出すためのツールとして活用することが大切です。
よくある活用ミスは、
- シートに書いてあることしか聞かない
- シートを埋めることが目的になっている
- シートを見ながら機械的に質問する
カウンセリングシートは、あくまで会話のきっかけです。
シートに書かれた内容から、「それって、もう少し詳しく教えていただけますか?」と深掘りしていくことで、本当の悩みが見えてきます。
また、個人情報の取り扱いについても、シートに記載するだけでなく、口頭でも説明することで、お客様の安心感につながります。
クロージングのタイミングを間違えない
クロージング(契約や次回予約の提案)のタイミングも、実はとても重要です。
多くの方が間違えているのが、「施術が終わってから、さあ次回の話を」と切り出すパターン。これだと、お客様は「売り込まれている」と感じてしまいがちです。
実は、クロージングの成否は施術前と施術中で9割以上決まっていると言われています。
施術前のカウンセリングで、お客様のゴールを明確にし、そこに至るプロセスを丁寧に説明する。施術中に、体の状態を伝えながら信頼関係を深める。
こうした積み重ねがあってこそ、施術後の提案が自然に受け入れられるんですね。
顧客満足度を高めるカウンセリングの実践テクニック
ここからは、より具体的な実践テクニックについてお伝えしていきます。
お客様の本音を引き出す質問のコツ
お客様の本音を引き出すには、質問の仕方に少し工夫が必要です。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け
質問には2種類あります。
- オープンクエスチョン:「はい/いいえ」では答えられない質問(「どんな時に辛いですか?」)
- クローズドクエスチョン:「はい/いいえ」で答えられる質問(「肩は痛いですか?」)
最初はクローズドクエスチョンで情報を確認し、徐々にオープンクエスチョンで深掘りしていくと、お客様も答えやすくなります。
悩みの深層を探る掘り下げ質問
表面的な悩みの奥には、もっと深い本音が隠れていることがあります。
例えば、 お客様:「肩が凝っているんです」 →「それは辛いですね。どんな時に特に気になりますか?」
お客様:「朝起きた時が一番辛くて…」 →「朝辛いと、1日の始まりが憂鬱になってしまいますよね。それで困っていることはありますか?」
お客様:「実は、仕事に集中できなくて…」
このように、少しずつ掘り下げていくことで、本当の悩みが見えてきます。
共感と傾聴で信頼関係を構築する話し方
お客様との信頼関係は、「共感」と「傾聴」によって築かれます。
聞く技術(傾聴力)を高める5つのポイント
- アイコンタクトを適度に保つ:目を見て話を聞くことで、「ちゃんと聞いていますよ」という姿勢が伝わります
- 相槌を丁寧に打つ:「そうなんですね」「それは大変でしたね」など、共感を示す相槌を
- お客様の言葉を繰り返す:「朝が辛いんですね」と繰り返すことで、理解していることを示す
- 沈黙を恐れない:お客様が考えている時は、無理に話さず待つことも大切
- 最後まで聞く:途中で話をさえぎらない
共感を示す言葉選びのポイント
共感を示す時は、お客様の気持ちに寄り添う言葉を選びましょう。
× 「それくらいなら大丈夫ですよ」(否定) ○ 「それは辛かったですね」(共感)
× 「みんなそうですよ」(一般化) ○ 「そういうお悩みをお持ちの方、実は多いんです」(安心感)
小さな言葉の違いですが、お客様が感じる印象は大きく変わります。
ビフォーアフターを効果的に見せる方法
施術の効果を実感していただくには、ビフォーアフターを分かりやすく示すことが大切です。
写真撮影のコツと注意点
写真を撮影する場合は、必ずお客様の許可を得ましょう。また、照明や角度を統一することで、変化がより分かりやすくなります。
ただし、過度な加工や誇張表現は、広告規制に触れる可能性があるので注意が必要です。あくまで、実際の変化を正確に記録する姿勢が大切です。
数値化できる指標で変化を示す
可能であれば、数値で変化を示すのも効果的です。
- 可動域の角度
- 肌の水分量
- 体のサイズ
こうした客観的な指標があると、お客様も変化を実感しやすくなります。
同意書と個人情報の正しい取り扱い
お客様との信頼関係を築く上で、同意書と個人情報の取り扱いも重要なポイントです。
同意書で明確にすべき内容
施術前には、必ず同意書にサインをいただきましょう。同意書には、以下の内容を明記します。
- 施術内容とリスク
- 禁忌事項の確認
- 写真撮影の許可
- キャンセルポリシー
丁寧に説明することで、お客様の不安を取り除き、安心して施術を受けていただけます。
個人情報保護の徹底
カウンセリングシートに記載された個人情報は、厳重に管理する必要があります。
- カウンセリングシートは鍵のかかる場所に保管する
- スタッフ間での情報共有も最小限に
- 守秘義務について、スタッフ全員が理解している
こうした配慮が、お客様からの信頼につながります。
カウンセリング力を高めて売上・契約率を上げる実践法
最後に、カウンセリング力を高めて、実際の売上や契約率アップにつなげるための実践法をお伝えします。
商品設計チェックリスト5項目
まずは、あなたのサロンの商品設計が適切かどうか、この5項目でチェックしてみてください。
①お客様のゴールを明確に言語化できているか
お客様が「どこから」「どこへ」向かうのか、明確に説明できますか? マイナスからゼロへなのか、ゼロからプラスへなのか、はっきりしていますか?
②現状からゴールまでのプロセスを段階的に説明できるか
ゴールに至るまでの「階段」を、お客様に分かりやすく説明できていますか? 各段階で、お客様がどんな変化を体感できるのか、具体的に示せていますか?
③そのプロセスを進むための具体的な計画を提示しているか
来店回数や頻度に、お客様視点での根拠がありますか? 「なぜその回数が必要なのか」を、お客様が納得できる形で説明できていますか?
④施術は手段で、商品はゴールまでの道のりだと定義しているか
お客様が欲しいのは「施術」ではなく「理想の状態」だと理解していますか? 技術説明ではなく、お客様の未来を語れていますか?
⑤カウンセリングでは未来の計画を話しているか
過去の施術実績や技術の話ばかりになっていませんか? お客様の未来がどう変わるのか、希望を語れていますか?
この5項目のうち、1つでもバツがついた場合は、リピート率に課題がある可能性が高いです。
特に、「生涯顧客」として長く通っていただくためには、すべての項目をクリアしていることが理想です。
カウンセリングシナリオの組み立て方
効果的なカウンセリングを行うには、ある程度のシナリオ(流れ)を用意しておくことが有効です。
基本のシナリオ構成
1、アイスブレイク(緊張をほぐす)
笑顔で挨拶、自己紹介
「今日はお疲れ様です。リラックスしてくださいね」
2、現状把握(悩みを聞く)
カウンセリングシートをもとに質問
「どんなことでお困りですか?」
3、ゴール設定(目的を明確にする)
「その悩みがなくなったら、どうなりたいですか?」
マイナスからゼロか、ゼロからプラスかを見極める
4、プロセス提示(道筋を示す)
「そのゴールに到達するには、こんなステップで進んでいきます」
各段階での変化を具体的に説明
5、計画提案(来店ペースを提案)
「最初は週1回、3ヶ月で8回を目安に」
根拠をお客様視点で説明
6、クロージング(決断をサポート)
「一緒に、理想の状態を目指しましょう」
次回予約や回数券の提案
このシナリオを基本としながら、お客様の反応に合わせて柔軟に対応することが大切です。
物販(店販)につなげる自然な提案術
施術だけでなく、ホームケア商品の提案も、売上アップには重要な要素です。ただし、ここでも「押し売り」にならないよう注意が必要です。
物販提案の3つのタイミング
- 施術中に気づきを与える 「この部分、ご自宅でもケアしていただくと、もっと良くなりますよ」
- アフターカウンセリングで具体的に提案 「今日の状態を保つために、ご自宅でこちらの商品を使っていただくのがおすすめです」
- 次回来店時に経過を確認 「前回おすすめした商品、いかがでしたか?」
押し売りにならない提案の言葉選び
× 「この商品を買わないと、効果が持続しませんよ」(脅し)
○ 「この商品を使っていただくと、次の施術まで良い状態が保ちやすくなります」(利益提示)
× 「絶対にこれを使ってください」(強制)
○ 「もしご興味があれば、試してみていただけますか?」(提案)
お客様の利益を第一に考えた提案であれば、決して押し売りにはなりません。
まとめ:カウンセリングの前に見直すべきは商品設計
ここまで、エステのカウンセリングで本当に大切なポイントについてお伝えしてきました。
最後にもう一度、重要なポイントをおさらいしましょう。
カウンセリング技術の前に、商品設計を見直す
どんなにカウンセリングの技術を磨いても、商品設計がお客様のニーズとズレていれば、リピートにはつながりません。まずは、あなたのサロンの商品が「技術志向」ではなく「顧客志向」になっているか、確認してみてください。
お客様のゴールを明確にすることが最優先
お客様が本当に求めているのは、「施術」ではなく「理想の状態」です。マイナスからゼロへ導くのか、ゼロからプラスへ導くのか。お客様のゴールを明確にすることが、すべての出発点です。
プロセス設計が信頼とリピートを生む
ゴールまでの道のりを、階段のように段階的に示すこと。各段階で、お客様がどんな変化を体感できるのか、具体的に説明すること。これが、お客様の信頼を得て、リピートにつながる鍵です。
整合性のある提案が、押し売りを防ぐ
カウンセリングで伝えた内容と、提案するコースが一致していること。これが何より大切です。お客様のゴールに沿った提案であれば、それは決して押し売りではなく、プロとしての誠実な提案になります。
すべてを一度に完璧にする必要はありません。
まずは、今日お伝えした5項目のチェックリストで、あなたのサロンの現状を確認してみてください。そして、「ここは改善できそうだな」と思ったところから、少しずつ取り組んでみてください。
その小さな一歩が、お客様から長く愛され、選ばれ続けるサロンへの道につながっています。
あなたのサロンが、もっと多くのお客様の笑顔を生み出せますように。応援しています。

